宮城県白石市の電子投票見学取材
電子投票の現地取材の見出し

(1)前置き
白石市の電子投票 取材開始
宮城県白石市の電子投票終了
電子投票機が操作ストップ
トラブル機の交換作業時間
電子投票のカード操作方法の変更についての私の意見
投票台の配置と機械の配列

● 前置き
 
宮城県白石市電子投票 
 2003年4月27日投票の、宮城県白石市の市長・市議選は電子投票で選挙がおこなわれました。 そのため、私はその投票・開票の両方を見学する日程をたてており、土曜日、東北新幹線の最終列車に乗る予定をたてました。実際には、統一地方選挙の候補者応援を、時間いっぱい行い、最終新幹線に乗車した次第です。
白石市のネット放送局 
 その宮城県白石市は、インターネット放送局を持っています。
http://www.c-t-s.co.jp/~sugi/cube/cube_bro.html
 こうしたところの行政では、映像などによる情報発信に熱心です。閲覧も高速、低速の選択性になっています。
白石市電子投票見学 
私は、26昨日の午後11時半に、新幹線で白石蔵王に到着しましたが、宿泊先は、在来線の白石市でしたので、タクシーでたどり着きました。26日は、兎に角慌しい時間をすごしました。新幹線の出発に際しては、石田さんには東京駅まで見送ってくれました。そのおかげで、今日の電子投票選挙の見学が出来ています。
 描くべき記事はたくさんあるのですが、兎に角さまざまのことを見たことを、ほぼ時系列で報告しましょう。

宮城県白石市の電子投票終了

 26日の新幹線最終便で、宮城県白石市に電子投票の見学に出向いていました。

 28日には、町田市に向けて帰宅中ですが、途中で立ち寄りしており、そこでこの部分の記事を掲示板に書き込みをさせていただいています。その文をもとに記事にしています。

 ともかく、日本で3番目の電子投票が終了しました。東日本方面では初めて、またこの業務を担当した電子投票メーカーは、今回初めて「東芝」でした。 詳細報告は下段に記載しますが、毎回電子投票を見学しているものとしては、その開票作業などに少し物足りなさを感じました。当日の一般傍聴者は200名以上で、公民館の2階席はいっぱいになっていました。他に現地で傍聴していたのは、落札メーカー以外の電子投票メーカーの関係者、自治体関係者が合計50名以上も入っていました。他に、若干の研究者と、議員(本年の夏に電子投票が予定されている福島県大玉村の議員のみなさんと、吉田つとむ)が開票までを見守りました。
 後でわかった(5月4日)ことですが、地元の市議会議員の方が、お一人見学なさっていたそうです。(氏名などは、ご本人の了解を得てから記載しましょう)
 
白石市の電子投票 取材開始

 2003年4月27日に行われた統一地方選挙で、宮城県白石市は市議会議員選挙に電子投票を導入しました。

 東北地方を含む東日本地区では始めて、日本でも3番目と言うことで、白石市では投票・開票に際して、メディアの取材要領を作成していました。
 現地の取材では、他に、自治体関係者、研究者に合わせて、議員1名(私のことです)と、電子投票システムメーカーの関係者多数がその投票状況を見学しました。

 取材をオープンにしたのは、白石第2投票所(白石第1小学校)と、白石第3投票所(白石第2小学校)の2箇所でした。前日には、設置状況の取材も受け付けた記録がありました。

 私は、この2箇所と開票所の公民館に隣接した投票所の投票状況を見学しました。入り口では、杏林大学の学生が電子投票の利便性に関するアンケートの出口調査をしていました。当日にお会いした岩崎正洋助教授の話によれば、後日、その統計内容を発表されるそうです。

 また、当日は、岩崎正洋助教授の紹介で、東京大学先端科学技術研究センター バリアフリープロジェクト 特任助手の村田拓司 氏もご紹介いただきました。村田拓司さんは、「全盲」の方ですが、自ら投票行為におけるバリアフリー化の研究に取り組んでおられる方でした。そうした取り組みがあることを聞いたことがありますが、実際にお会いするのは始めてです。結果的に、翌日の新幹線の東京駅までご一緒しました。

 私は、選挙の電子投票の導入を効率化の面でのみ考えていましたが、その投票者のバリアフリー化の面で極めて優れているのではないか、と考えました。この件は、またの機会に別途記述します。

 他に、大勢の電子投票メーカーの皆さんにも出会いました。既に、全部の電子投票に立ち会うと、そうした皆さんとも顔なじみになってきています。その機械を動作を見つめる皆さんのまなざしをひしひしと感じました。メーカー研究者の人もいるようですが、大半はそのライバル企業の営業マンの雰囲気をかもし出しています。*(注記) 私は、電子投票にこれだけはまり込んでいますので、町田市が導入する際には、入札に影響を一切与えないように、身辺を気をつけないといけないでしょう。

電子投票機が操作ストップ

 この電子投票は、実施前にはその操作性を危惧する意見があるが、実際には「あつかいやすい」、「また電子投票で選挙がしたい」と言うのが大半のようです。そのことは、杏林大学チームのアンケート調査を待ちましょう。

 さて、その日の見学した、白石第2投票所(白石第1小学校)と、白石第3投票所(白石第2小学校)の2箇所では、トラブルが2件も発生しました。

 投票者が、投票するためのカードを電子投票機に挿入した際に、カードが戻ってこずに、機械がストップしたようです。たまたま、私が2箇所の投票所を回っていた時に、その両方で機械がストップしたのです。今回の選挙では、5回のトラブルが発生したとのことですが、私は2回もその光景を目にしました。

 停止した電子投票機は、その代替機が準備されました。メーカー社員や行政職員の皆さんが、大勢で会場に入ってきました。

 われわれ視察取材陣(メディア関係者は、ほとんど引き上げていた時間)の前で、その取替え作業がありました。しかし、その作業手順ではもう少し、改善の余地があるようでした。外部の人間ですので、たちったことを述べるのは控えるべきでしょうが、今まで全部の電子投票に機会に立ち会ったものとして、少しだけ記述しましょう。

 まず、電子投票機がストップした時点で、そのことを「投票立会人」に即座に報告し、その取替え作業全体に立ち会わせることがベターと考えます。取り替え後のゼロ票確認の作業だけでは、そのプロセスが不透明ではないかと、有権者が考える可能性があります。

トラブル機の交換作業時間

 この白石市では、投票所が38箇所設置されたとされています。そのうちで31箇所は、投票時間(7:00〜20:00)
4箇所で、投票時間(7:00〜17:00)
3箇所で、投票時間(7:00〜18:00)
 とされていました。
 そのため、開票所には、随分と早い時間から「電子投票の記録媒体」と不在者投票分の投票箱が持ち込まれました。

 さらに、こうした投票所では、全部で電子投票機が全部で110台準備されました。全機種が(視力障害者用に)音声対応であり、投票所には103台が配置されていました。(視察の資料に記載したものを参照)

 この資料と、トラブル機の交換状況からすると、予備機は選挙管理委員会が指定した場所で保管していたのでしょう。私が投票機のトラブルと遭遇した時には、10分程度で、代替機を持ち込んできたようです。ライバルメーカーの社員では、その時間を計測していた可能性があります。

 当然、白石市の選挙管理委員会では、トラブル機の交換処理時間を計測しているでしょう。官庁の仕事は、そうした点がしっかりしています。

電子投票のカード操作方法の変更についての私の意見

 白石市の電子投票での投票機のトラブルは、投票者が無理にカードを押し込んだ際に、そのカードが戻ってこないことです。メディアや視察者に公開された場所で見学しました。そうした際、私が見ている最初の場所で、別の場所に移動した2箇所目でも、そのトラブルがおきました。

 そうした電子投票機械では、電磁的な構造になっているはずですが、物理的な力を加えるカードの挿入部分は、そうはいかないのかも知れません。電子投票機は、開始時間から終了期間まで、安定的に作動することが必須課題です。

 この電子投票システムは、国内ではその制度が導入されたばかりであり、その信頼性を獲得するために技術開発を日夜繰り広げているものです。失敗は失敗として、広範囲に、その問題点を明白にする必要があるものです。

 今回、この電子投票システムを使ったのは東芝製のものです。日本でまだ3番目のことですので、仮に失敗が起きれば、その問題点を自社だけでなく広く公開して、その信頼性を確保していく必要があります。

 今回のトラブルを基礎にすれば、次のように考えます。
 投票確認作業を、今後もカードで行う方法を用いるのであれば、「JR」のように「スイカ方式」をとるほうがスムーズです。カードを台の上に置いて、電磁的にその処理をする方法に変更する必要があるのではないでしょうか。
 最も、この考えは、今回のトラブルを見てのことであり、他の方法を取っているメーカーや、これほどトラブルが起きないであろうメーカーの場合は、それを問う考えはありません。

 関係者の意見が寄せられれば幸いです。

投票台の配置と機械の配列

 電子投票の場合は、投票者がどの候補者に投票したか、絶対にその秘密性を保つことが必要です。そのためのいろいろの工夫がなされるわけです。

 今回の投票では、投票台の配置と投票機の配列が気になりました。まずは、その間隔ですが、手書き方式と違って、その機械の間に空間が設定されていましたが、それは必要な措置と考えます。その投票機の両側と後ろには、仕切りが設定されていますが、次の投票者や投票事務者に、手の動きが見られる可能性がありました。少なくとも、視察する側からは、投票機のタッチパネルに写る候補者のどのあたりに指が動いた想像がつく感じがしました。

 今回は市議選のみの選挙であり、電子投票で選ぶ候補者数が、28人と多さだったのでそれほど気になりませんでしたが、首長選挙の場合は、もう少し工夫が必要ではないでしょうか。

 自分がその候補者であれば、気になったことでした。

 その他、初めて行われた電子投票のために補助員が配置されていました。投票者が戸惑うことも予想されることですが、どのタイミングで「補助」を行うのか、微妙な領域に入ってきます。公正な選挙を目指し、投票者に最も影響を与えない方法はどのようにするべきか、一般有権者、立会人、候補者を含めて、選挙管理委員会が、そのあるべき姿を研究するべきでしょう。

 この宮城県白石市にとっては、多数のノウハウが蓄積されたと思います。以下、電子投票の開票記事は、別途に記事にする予定です。