ゆうゆう祭りと紙版画
(03/10/22)

<見だし>

紙版画とこすりだし版画 -10/18-23:25
黙々と作品作りに取り組む子どもたち - 10/19-09:06
子どもたちの創作作品 - 吉田 つとむ 10/19-21:30
作品作りと親のしつけ - 吉田 つとむ 10/21-11:22
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紙版画とこすりだし版画

 本日は、町田市国際版画美術館で「第5回ゆうゆう版画美術館まつり」が開催されました。

 町田市国際版画美術館友の会では、関係の事業が行われて、わたしもその催しに参加しました。そうした中で、「子どもと版画」コーナーの催しを担当することになり、終日そこのポジションにいました。

 その内容は、紙版画とこすりだし版画(フロッタージュ)というものを、子どもに体験してもらおうという企画でした。

 私は、そうした企画で子ども達が集まってくれるか、内心心配していましたが、親子連れのお客さんでにぎわいました。

 実は、その催しに参加した子どもの行儀の良さに感心しました。「作品」を作るということは、時間もかかるため、非常に根気がいる作業ですが、良くそれにも耐えていました。

 そのときのエピソードを、いくつか書かせていただきます。(以下、続き)

黙々と作品作りに取り組む子ども達

 今回の企画の内容は、「紙版画」と「こすりだし版画(フロッタージュ)」を製作するものでした。

 まず、「紙版画」は、台紙を用意し、それに「紙版画用の色紙」を使い、絵を描きます.自分が使いたい白の色紙を選び、適当な大きさに切ったものを組み合わせて配色しますが、それぞれによって模様を描く子どももいれば、具象的な絵を描く子どもいました。

 そこで出来あがった作品は、「紙版画」の版であり、それに水分を含ませた、網を押し当てます。上から「バレン」や、「ローラー」を用いて、模様を転写させます。

 適当な水分だときれいに転写され、少なすぎると絵がかすれた状態になり、水分が多すぎると絵がべったりとした状態になり、周辺もにじんでしまいます。

 本来は1枚の版から、10枚の作品が出来あがるそうですが、この日は3枚も作れば、版の色が飛んでしまっていました.水分の量が多すぎるのと、「バレン」の使い方が要領を得ていないためでしょう。

 ですが、その日に参加した子どもさんは50名以上にのぼり、付き添ったおやごさんを入れると、100名以上の皆さんが、この「紙版画」の作品
作りに取り組みました。

 もう一つの作品を作ったものは、こすりだし版画(フロッタージュ)」というものです。
 
 台紙の上に、型紙を切り合わせ、紙に段差を附けて、「版」を作ります。単純な方法では、植物の「葉っぱ」を台紙に乗せて、上から紙を押し当て、色鉛筆のクッピーで絵形を浮き出させるものです。

 色の使い方のよっては、版のイメージとはまったく異なった作品が出来あがる楽しみがあります。

 本来は、5名の参加者が30分交代で作品を仕上げてもらい予定でしたが、製作に時間をかける子どもたちが多く、1時間以上もそこに座っている子ども達が目立ちました。そのため、一度に10名も皆さんに座ってもらい、同時進行で作品を仕上げる方法に切り替えました。

 ほとんどの子どもさんが黙々と作品を仕上げていく姿に、感動したものです。(続く)

子どもたちの創作作品

 「ゆうゆう祭り」は、10時に始まりました。小さな芸術家体験コーナーは、開始そうそうから、お客様を迎えました。

 実際には、午前9時30分に集合し、そのコーナーの責任者の方が丁寧な説明をされました。そうして、私は試作品を自分で作ることになり、一応の入場者を迎える準備を済ませていました。

 ある種の大人から見ると、たあいも無い切り紙を使った、お遊びの年賀状を作るための手法程度にしか、考えられないでしょう。

 しかし、大勢の子どもさんが集まりました。親子で楽しく、作品作りに挑戦していただきました。

 私は、子どもさんたちに、紙版画を2枚摺ってもらうことにしました。そうして出来た作品を、1枚をお家に持って帰る、もう1枚は会場内の掲示板に貼って、入場者の皆さんに見てもらうというわけです。

 出来が良い方を自宅に持って帰るか、みんなに見せる方を出来が良いほうにするか、大半の子どもさんは、その「版」と、できばえがきれいな方を自宅に持って帰りました。

 とにかく人気が高く、掲示用のパネルは、ハガキ大の作品で一杯になりました。私は、子どもたちが仕上げた作品を、次々にパネルに移動し、次の参加者の見本としました。

 そうして、次に参加する子どもには、「そこの掲示板に貼って無い作品に挑戦してね」、という難しいテーマを与えました。

 子どもたちは、魚やイルカを描き、海草を配置した作品、猫やウサギ等の動物をイメージしたもの、ひまわりやチュウリップを配置した作品、機関車や自動車を描いた作品、太陽とお月様が目だった作品、家や大きな木をあしらった作品、そうそう人の顔をあしらった作品と模様・デザイン風の作品も作りました。

 私は、子どもたちの作品をパネルに貼っただけですが、なにやらそれらのものが自分が作ったような気がしました。 

作品作りと親のしつけ

 この「ゆうゆう祭り 小さな芸術家体験コーナー」の参加する子どものしつけがしっかりしていたことに驚きました。

 じっくりと作品を仕上げようとすると、1時間は十分かかります。子どもたちは、その間、頭を働かせ、あるいは思いのままに素材を切って、並べ合わせる作業を続けるわけです。

 最初に受けつけに並ぶ際も、あるいは作品作りに取り掛かるときも、挨拶をきちんと行います。

 ハサミを器用に動かして、それぞれの形を作って行きますが、全部の子どもたちは、それを黙々と続けました。思いのほか良く出来た作品もあれば、それほでうまくは出来なかった作品もありました。

 しかし、親子が一緒になって、あるいは子どもだけで作業に取り組んでも、最後は私たちにありがとうございました、と挨拶をしていくところがきちんとしています。

 芸術にかかわるということは、そうしたしつけにもつながるのでしょう。実に、町田市国際版画美術館「ゆうゆう祭り」という機会で、良い光景に立ち会えました。 

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