IT時代の選挙運動に関する研究会報告書についての講演を聞いて

町田市議会議員 吉田つとむ(東京ねっとわーく)メモ (2003/02/26作成)

目 次

 「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」(平成14年8月)に関して、講演を聴く機会を得た
 私は、講演で関心を持った話題と結論
 講師自身が提起された、研究会の議論の結果を整理したもの。
 ● 講師の提起に対する、私の見解
 <講演の中で、吉田がコメント付けた内容>
 ● ● 講演に対して行った、私の講師への質問

<本 文>

「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」(平成14年8月)に関して、講演を聴く機会を得た

 先日平成15年2月、「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」(平成14年8月)に関して、講演を聴く機会を得ました。その講演は、「東京ねっとわーく」(東京都内の地方議員の自主的な研究グループ)が主宰した会合で行われたもので、総務省自治行政局選挙部選挙課のキャリアである、原 昌史係長を講師に迎えました。原係長は、この研究会の事務方の中心的に活動された人物で、公職選挙におけるインターネット解禁の話題で、最もリアルな考えを持っておられる方でした。

私は、講演で関心を持った話題と結論

 私は、講演では、次のような話題に関心を持ちました。
 国では、公正な選挙が行われることを求めてきた。
 1 お金がかからない選挙が行われること
 2 きちんとした手続きで選挙が行われること
 (一方で、不在者投票の緩和を行ってきた)

 以下、講演に関するメモと、私の感想などを付記しました。

 1の関係では、選挙運動に関して、文書図画の配布制限が行われいる。
  ただし、政治活動に関しては、元来自由であり、この種の制限が無い。ということは、選挙期間以前に、政治活動にまい進することが、何より重要である。これが、私にとっての結論です。

今後の情報関係の公選法改正の課題は、
 FAX・電子投票・インターネットの利用を促進することであるという主旨にとらえました。

 私も選挙で、インターネットの利用を解禁することだと考えていましたので、その話に大いに関心を持って受け止めました。

 講師自身が提起された、研究会の議論の結果を整理したもの。

◎ 現行の選挙運動規制は維持しつつ、新たにインターネットによって選挙運動を行うことを可能にすること。
◎ インターネットによる選挙運動については、ホームページによる選挙運動のみとすること。
◎ ホームページによる選挙については、全ての選挙について導入することとし、また、量的な制限は設けないこととすること。
◎ ホームページによる選挙については、候補者又は政党以外の第三者が選挙運動を行うことができるようにすること。
◎ 選挙運動を行うホームページは、第三者による書き込みを行わせることができるものであること。
◎ 候補者及び出納責任者と意思を通じて支出したホームページによる選挙運動に要する経費については、従来どおり選挙運動費用に算入すること。
◎ 候補者以外のホームページによる選挙運動に要する経費は出納責任者と意思を通じることなく支出することができるようにすること。その場合の経費は、選挙運動費用に算入されないものとすること。
◎ ホームページ上のなりすましや誹謗中傷等の対策としては、ホームページの開設者に電子メールアドレスの表示を義務付ける等の措置を講じることとすること。
◎当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員においては、有権者及び候補者等の便宜を図るため、候補者(比例代表選挙にあっては政党)のホームページアドレスの周知を図るなど利用の便宜性に努めるものとすること。

● 講師の提起に対する、私の見解

 この、「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」に示された方針を、私は次のように解釈しています。
● 新しいメディアの導入促進(有権者を増大する意味も含む)の観点。
   費用はそれほどかからない。
● 有権者が自分の意志で見に来れるものを前提とする。
   メールの大量送信を規制する意味を含める。
  (メ−ルマガジンの発行は、特定して相手への送信と考えられるーーー可能)
● 国政と地方自治体選挙で、区別をしないで同等に扱う(現行、個人ビラの発行は、自治体首長・議員選挙には無い差別をしている)
   HPの構成上、量が大小はさほど、その評価に関係しないと考えられる。
● HPを使った選挙運動では、候補者個人(事務所)は当然に利用する。
  政党のHPによる選挙運動も認める。
  さらに、第三者が個人的に選挙応援する意味で、これを見とめる。個人が、自分の意志で自由に電話で選挙応援をすることと同等とみなしている。
● HPの掲示板に関しては、HPの訪問者が見るもので、不特定多数が見るわけではない。
   有権者と候補者が、意見の交換を行うことは、当然の行為とみなした。
  この観点は、以外に開かれた運動を肯定していると驚いている。
● HPによる情報発信は、その作成費用を従来の広告物作成費とみなし、回線費用などを通信費とみなしており、比較的に安価な選挙運動になると考えている。
● 上記のように、第三者が選挙の応援を個人的に行うことを想定し、それを見とめている。
● 候補者に成りすました(悪意な)サイトの出現や、候補者を誹謗中傷する事態を想定し、それに制限を加えることを考えている。先ずは、その照会ができるようにメールアドレスを掲載することを義務付けた。
● 候補者の見解が、知りやすくする方法を、選挙管理委員会も支援する立場で考えている。


<講演の中で、吉田がコメント付けた内容>

諸外国での各種制限の話や、ネットの文書図画の配布に関する説明があったが、ネットの音声による選挙運動の事例で、特殊な例で割愛したい。
ただし、インターネットの利用で、在外の有権者(国政の比例代表選挙)にも選挙運動が可能となることがあげられた。

インターネットと選挙運動規制

効果
1 候補者情報の充実、2 政治参加の促進、3 有権者と候補者の直接対話、4 金のかからない選挙(クオリティーの競争となった場合、お金をかけようと思うと上限は無い)

課題
1 デジタルデバイトの差(ネット情報を取り扱える人と出来ない人の差)、2 インターネットの悪用

第三章 インターネットを選挙運動手段に位置づける場合

T インターネットによる選挙運動の範囲

1 その範囲を利用方法で限定する
1) ホームページの利用を考える
2) メールの使用は、制限を加える
   迷惑メール・追跡の困難性・アドレス購入など
  電話とは、異なったもの利用で、文書性・保存性がある
3) 有権者の政治参加の環境整備の観点で、HP(掲示板)への書き込みは認める

2 事前運動の禁止

1) ネットの場合も、事前運動は禁止する
2) 選挙当日までの書き換えを認める。当日の書き換えは禁止し、閲覧のみとする。

3 量的な規制

1)ネットでは、量に比例して費用がかかるわけでないので、量的な規制は適当でない。

4 選挙の種類による規制

1)選挙の種類では規制に差をもうけないことが適当
● 吉田 つとむ
 これは、実現されるとうれしい。地方議員には、「選挙ビラ」も発行できず、その解禁を求めた意見書を、町田市議会と甲府市議会は、国に出したところです。ネットでは、最初から公平に扱ってもらいたいですね。

U 第三者の選挙運動

 1 有権者の政治参加の促進などの観点から、電話による選挙運動同様、主体制限をかけないことが適当という説明でした。

● 吉田 つとむ
うーん!これはすばらしい! ネットの出来ない議員も、これで完全に救済されます。勝手に、議員支援サイトを開設する人が大勢出るでしょう。ただし、本人サイトと区別されることが必要と考えます? 
サイト自身が、議員のものであるか、そうでなく支援さいとか、はっきりわかることが必要だと考えました。

V インターネットによる選挙運動に関する費用について

 現行の電話費用などと同じに考えているという説明でした。そのシステム上、さほど費用がかかるものとは考えられていませんでした。

● 吉田 つとむ
 元来、インターネット関係費用は、さほどかからないことが前提となる。金銭的支出に関して、それほど問題点にはなりにくいと受け止めました。

W インターネットにおけるなりすましや誹謗中傷について

 まず、候補者HPにメールアドレスの表示を義務付けること、
 候補者のHPアドレスを周知徹底させることなどが考えあられていました。

● 吉田 つとむ
ネットの利用者が候補者になりすますことは、簡単に出来ることです。妨害する目的で、ネットを利用すると様々のことが想定されるでしょう。選挙に関しては、氏名の虚偽を行うことには、罰則条項が新設されるべきものと考えます。

● ● 講演に対して行った、私の講師への質問

 メールマガジンの取り扱いに関して、質問しました。
 メールの選挙運動が禁止されるとすれば、メールとHPの中間的な存在のメールマガジンの取り扱いは、どちらの解釈が適当か?
 それに対しての講師の答えは、メールマガジンは事前に登録した人を対象に、情報発信されるもので、「不特定多数にメールしたとはみなされない」という解釈でした。
思うに、通常から大いにメールマガジンを発行し、従前から登録者を増やしてく、こうした取り組みが、他の陣営に差をつける戦略となるのだろう。