誤報の引き金―― 毎日新聞の[歩きたばこ禁止]の報道
2002.3.14作成
<前置き>

 なんだか変!な毎日新聞

 毎日新聞は、2003年3月11日版、なんだか変!東京ウオッチング という囲み記事の中で、<「歩きたばこ」規制 なぜ進まない 「罰則」に慎重な自治体 モラル向上が先決>というものが署名入りで書かれている。
 
 この記事の本文では、下記の引用のように書き出している。

 町田市では、千代田区の条例が施行された後の昨年11月、藤田学市議が記者会見を開き、指定区域内での歩行喫煙を禁じる条例案を12月議会に議員提案することを表明した。しかし寺田市長や議員の多くが規制に慎重な姿勢を示し、結局、提案を断念した。(以下、省略)
 
 この記事を見て、毎日新聞の熱心な読者ならば、その記事がなんとも不思議なことにきずくはずでしょう。

 その説明は、HP記事をごらんになった上で、展開していきます。

<2002年11月19日、毎日新聞 記事の引用>

 2002年11月19日、毎日新聞は、その記事の中で、「町田市 歩きたばこ禁止へ 12月議会 議員提案、過料など検討」という見出しを付けたうえで、署名入りで下記の本文を掲載しました。
 千代田区で先月、歩きたばこを禁止する条例が施行されたが、町田市でも早ければ来春、同様の条例が施行される可能性が出てきた。藤田学市議(まちだ新世紀)が市議会12月定例会に議員提案する準備中で、他会派の議員の多くも賛同の姿勢を見せているためだ。寺田市長も前向きの答弁をしている。同区と同様に罰則規定も設け、違反者から過料を徴収する方向となりそうだ。(以下、略)


<上記の毎日新聞記事には、見出しに誤りがあり、更に多くの誤報を招く引き金になった>

 この記事を読んだ読者は、12月の町田市議会において、この歩きたばこ禁止の条例が、既に制定されていると考えるでしょう。

 ところが、この記事(その後半部分を含めて)をよく読むと、議員の態度に関して記載の中で不明点があることがわかります。なぜなら、町田市議会(36名)では議員提出の議案には3名以上の提案者が必要ですが、その提案者に関する記述が見当たらないことに疑問が起きるでしょう。

一般には、議長や会派の代表が話した内容であれば、議員全員やその所属会派の議員全員のスタンスとみなされます。さらに、全部の会派の代表が同意すれば、議員全員が了解したものともみなされます。そうでない場合、それぞれ議員個人として考えるのが一般的です。こうしたことは、議会を取材する新聞記者であれば自明のことでしょう。ましてや、全国紙の看板を上げる新聞社である以上は、記者が記事を書く以前の知識であるはずでする。もし、こうしたことがわからなければ、町田市議会の事務局にいつでも聞けるし、ベテラン議員を取材すれば、その知識だけでなく、そうした過去のデータまで聞き出すことも出来るのです。

しかし、この議案なるものは、12月議会に提出されませんでした。後でわかったことですが、他会派の議員も、この条例案の提出に賛同の意思を示さないばかりか、各会派の代表クラスの議員を含めて、<12月議会にこうした条例案が提出される>と言う情報すらも知らないことが判明しました。この毎日新聞の記事を読んだ読者は、まさかそんなことはありようがないはずと思われるでしょう。なぜなら、新聞に載るような議会に関する情報を、議員自身が知らないはずがない、と一般には思われるからです。

 しかし、この毎日新聞記事で書いている推移の情報を、「まちだ新世紀」の代表者も知りませんでした。同様に、私も一切知りませんでした。同月19日の夜になって、藤田議員から「同月20日に、歩きたばこの禁止条例提案の記者会見をしたい。」という連絡が代表者にあり、合わせて、私にもその情報がもたらせられた。そこで、私もその経過を尋ねる電話をした。これが、私が記憶する事実の経過です。

 上記のような動きとは別にして、毎日新聞の誤報記事は、さらに誤報を生んでいくことになりました。なぜなら、2002年11月20日の朝日新聞にも、その誤報が飛び火しました。 (以下、続く)