宮城県白石市長電子投票開票結果の取材記事(2)
(05/01/22)

<前書き>
 平成15年に市議会議員選挙で電子投票が実施された宮城県白石市では、平成16年10月31日に実施された市長選挙において、同様の電子投票方式で行われた。
 この選挙の投票では、投票開始前に大きなトラブルが発生していたことをすでに記したが、他にも開票時点でも新たなトラブルが発生した。前回に電子投票に携わった「東芝」が行ったことだが、前回には大きな問題が生じなかったが、なぜ今回はこうした問題が起きたのか、自分なりに考えを記したつもりである。

<見出し>
白石市、2つ目のトラブル - 吉田 つとむ 11/01-05:59 No.5175
2つ目のトラブルの内容 - 吉田つとむ 11/01-23:29 No.5176
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白石市の電子投票、2つ目のトラブル

 白石市長選挙の開票中、選挙の集計をやっている人のテーブルに人の囲いが出て、なにか問題が発生したようです。

 要は、投票事務の記録と電子投票機の開票記録が一致しないといけない内容です。

 そのため、発表時間がどんどん遅らしたいとも取れる発言となりました。
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 選挙の投票者数は、投票所で有権者が選挙はがきを示し、受付係りが選挙人名簿と照合することで個別の投票所ごとに集計していきます。

 通常、男女別に集計が行われ、それぞれの数値を出し、選挙管理委員会に報告します。選挙管理委員会では、一定の時間ごとにそれを集計し、都度、投票数と投票率を発表します。

 最終的には、その日の開票に先立ち、開票所において有権者数と合わせて発表します。

 その日の発表では、次の数値であった。

   有権者数  投票者数  投票率

男  15,690 9,508 60.60%   
女 16,802 10,624 63.23%
合計 32,492 20,132 61.96%

 当初の発表は、午後9時30分とされていたが、まだ集計が終了していないと発表された。

 ところがその後、電子投票の集計も、手書きの投票もすでに全部が終了し、その両者を合わせてパソコンに打ち込み、集計した段階でその場所に幾人もの選挙開票業務の職員が集まりだした。

 参観人の見学席は開票所の2Fとなっており、私のことの異常さを予感した。隣には、電子投票普及協業組合の宮川隆一氏も参観されていた。私以上に、その時の状況が尋常でないとの予測をめぐらせておられた。

 午後9時50分頃、開票作業結果の発表がなく、開票所の中は異様な気配を見せていた。参観人席から、「説明しろ!」という掛け声が上がった。

 午後9時52分、選挙事務の職員が、「集計中」とまたまた発表して、そのまま集計作業の職員はそのままパソコンに向かっていた。

 開票結果の集計は中央公民館の舞台の上で行われたが、職員は舞台の袖と煩雑に往復した。

 ようやく、投票結果の発表が行われた。

候補者名    得票数
いとう 勝美   3,540  
鈴木 としあき 5,693  
かざま 康静  10,658  当選

有効票     19,891
無効票      242

 と言うものであったが、これでは選挙人名簿による「全投票数」を1票上回った投票数があったわけである。内容が矛盾しており、その解明に時間を要していたようだが、それを会場で説明しなかったことで、電子投票の集計に疑問があったかの印象を残した。

 実際の説明では、1個所の投票所で投票人名簿の受付の際に1名の男性の記入がもれていたと言う。

 思うに、とにかく投票の集計記録が出た時点で、内容を会場内に公表するべきであったろう。なぜなら、上記に書いたように、開票作業の中において、開票結果が出たはずなのにそれを発表しなかった、という重いブラックボックスを選挙の開票所内に落ち込みしたと同じプロセスに至ったことは間違いにない。

 電子投票選挙において、投票用紙の書き込みに相当する投票データは電子化されており、そのプロセスを問題発生した時点でも、誰にでも納得できる方法を提供すべきである。

 一重に、「結果として出てきたものは、何であれその場で公表する」ことが、(電子投票)選挙の信頼をかち合えることだろう。
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