ライオンズ石油とライブドア
(05/04/05)

 ライブドアの挑戦は、ニッポン放送株の買い増しから始まりましたが、フジTVとの戦い、さらにはソフトバンクグループとの戦いにも発展しています。20年以上前にあった、「ガソリンの自主輸入の挑戦」に似た展開にもなっているので、それと照らし合わせた記事を書きました。
 たまたま、別の時点で書いているため、関連記事と内容が一部重複するかも知れません。その節は、ご容赦ください。

<目次>
経営者の最終判断(ライブドア) - 吉田つとむ 02/27-16:24 No.5829
ガソリンの製品輸入プロジェクト - 吉田つとむ 02/27-17:16 No.5830
サワラビ石油の先進性 - 吉田つとむ 02/28-23:31 No.5838
ライオンズ石油佐藤社長の登場 - 吉田つとむ 03/01-00:29 No.5841
代替ガソリン=フェルの販売 - 吉田つとむ 03/01-23:00 No.5844
格安自動車燃料とドライバー - 吉田つとむ 03/01-23:16 No.5845
ライオンズ石油のスタンド - 吉田つとむ 03/02-23:56 No.5849
無印のガソリンスタンド - 吉田つとむ 03/03-23:05 No.5854
ライブドアの申請が認められる - 吉田つとむ 03/11-23:42
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経営者の最終判断(ライブドア) - 吉田つとむ 02/27-16:24 No.5829

 今朝(吉田注:平成17年2月27日)の新聞各紙では、「条件次第でフジに株売却も ライブドア社長が示唆」(読売新聞2月27日)とある。

 もとより、この条件次第とは、自社のニッポン放送の株式購入価格を上回ることの条件付のことと推測されている。もとより、フジTV側のTOB価格を大きくうわまっており、その動向は予断を許さない。

 今回のライブドアの行動は、規制緩和が生んだ株式の買収合戦だが、その動向が注目される。多勢に無勢なのか、一点突破の展開となるか、この企業と堀江社長の行動に対して興味を持っている。
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ガソリンの製品輸入プロジェクト - 吉田つとむ 02/27-17:16 No.5830

 思い返せば、今を去ること二十数年前、ガソリンの製品輸入をもくろむ企業があった。

 今は、ガソリンを含む石油製品の輸出入がごく自然に行われているが、当時は、メジャーやオペック諸国の国営会社から「原油」で輸入し、石油の精製会社でガソリンや経由・灯油・重油等の石油製品を国内で生産し、元売と呼ばれる大手石油製品販売会社によって、系列販売店などに製品が卸されていくのが通常であった。

 ところが、これに異を唱え、日本に比べて製品価格が割安なガソリンを輸入しようとした企業(人物)が登場した。その企業は、大手の系列に属さない無印のガソリンスタンドの企業であり、今で言うと、ベンチャー企業というような存在であった。

 名称をライオンズ石油となずけ、佐藤太治という若手の経営者がガソリンの安売りを行っていた。その安売りをさらに強化しようともくろんだのが、「ガソリンの自主輸入」のプロジェクトであった。

 この動向は、当時の経済面に何度も取り上げられたが、今日のライブドア社の、プロ野球球団参入、ラジオ経営参入とは、記事の分量においてはるかな違いがあるのである。

 この「ガソリンの自主輸入の取り組み」に関して、少々記載したいと思っている。

 なお、この「ガソリンの自主輸入の取り組み」に関して、下記の記事に記すように、私はかなりのかかわり方をしていました。
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サワラビ石油の先進性 - 吉田つとむ 02/28-23:31 No.5838

 そのそも、ガソリン輸入の考えが関係者の間におきたのは、日本が原油を輸入し、国内で精製するという消費地精製主義で持って、国策としてきたからでした。

 当時まで、外国からは原油で輸入し、国内で石油製品に精製するという方法を取っていましたが、これまた国策として、軽油や灯油を安く販売させ、他方でガソリンを高く販売させる方法を取っていました。数十年間もの間、その製品価格差利益で持って、精製メーカー・元売の原資としていました。その原資を得るには、ガソリンの製品輸入を常に排除することが必要でしたし、元売各社の護送船団方式が徹底していました。

 これに、最初に挑もうとしたのは、京都のガソリンスタンド店である、「サワラビ石油」でした。この会社は、省エネ対策で、日曜営業が禁止されている当時、郊外店の営業政策としてそれでは営業が出来ないとして、日曜営業を求める運動グループを作っていましたが、そのリーダー企業でした。(私は、サラリーマン新党の事務局を担当していた時に、そのグループから連絡がその運動を知りました。具体的に対応しようと試みましたが、内外ともにその機運がおきませんであいた)

 このグループの有志で、ガソリンの輸入を計画したものですが、(当時の)通商産業省資源エネルギー庁の行政指導が徹底し、実行には至っていませんでした。
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ライオンズ石油佐藤社長の登場 - 吉田つとむ 03/01-00:29 No.5841

 このサワラビ石油の日曜営業を求める運動に参加していたのが、関東では「ライオンズ石油」でした。相模原市を拠点に、国道16号線沿線付近にスタンドを開設し、ガソリンの安売りを行っていました。

 私が知るその手法は、ともかく大量のガソリンを自分のスタンドで売りまくる。それによって、メーカーの多額のバックマージンを受け取ることで、実質的な利益を得るという商法でした。その方法の名称もありましたが、記憶していません。

 ライオンズ石油の佐藤社長は、(当時の元売の一社である)ゼネラル石油との取引があり、その業界商法をメデイアに暴露されたこともあったと記憶しています。ともかく、意表をつく手法が特徴でした。ライブドアの堀江社長と二重写しになります。
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代替ガソリン=フェルの販売 - 吉田つとむ 03/01-23:00 No.5844

 ガソリンというのは原油を蒸留して作るものですが、その成分は細かく規定されており、多額の割合の税金が課されてきました。ガソリン税がそれであり、道路建設に使途を限定して使われてきました。

 ところが、その規定に含まれないでも、ガソリンと同様の性能を発揮する「代替ガソリン」がありました。それは、業界では「フェル」と称されていましたが、それを自動車燃料として販売しても、一般の石油製品として課税されることになり、ガソリン税と比べると、はるかに安い税金を納めることで済んでいました。

 そのフェルは、大手石油業者に組しない独立系の石油製品卸業者によって、韓国などから輸入され、一般のガソリンスタンドで、ガソリンとは違った名称を使い、一般ガソリンより若干安めで販売されていました。

 オーナードライバーを中心に、その製品が安価なこともあって、かなりの数量で販売されていました。国内では、数十億円の単位で売買があったのではないでしょうか。

 その結果、その輸入業者とその販売店は、大きな利益を生み出していました。

 そうしたことを、大手石油業界や、資源エネ庁が放置することはなく、このフェルにもガソリン税と同じ税額がかけられる法改正が行われました。昭和59年の頃であったと思います。こうした課税措置は、極めて機敏に推移します。それを国会の審議で、目のあたりにしました。

 こうした動きは、現在の「第3のビール」の製造販売でも同様な課税の動きがありましたが、今回はそこまでは進みませんでした。

 ともかく、このライオンズ石油の佐藤太治社長は、このフェルの販売でかなりの儲けを出していたと思います。この時期、かなり羽振りが良いものでした。
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格安自動車燃料とドライバー - 吉田つとむ 03/01-23:16 No.5845

 ガソリンは、その価格の半分は税金ですので、上記のような代替ガソリン(フェルのようなもの)が登場すると、多くのドライバーによって、瞬く間に低額な税金で済む格安な自動車燃料として愛用されました。

 このフェルの販売は、石油元売の系列に属しない独立系のスタンドで販売されていました。この独立系のスタンドは、通常、市場にだぶついたガソリンをその流通マーケットを通して、仕入れていました。

 いつかは、国によって課税措置が取られるだろうと、業界人は予測していました。
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ライオンズ石油のスタンド - 吉田つとむ 03/02-23:56 No.5849

 安売りが特徴であったライオンズ石油では、若い社員が働いていました。それも飛び切りの若さでした。

 他のスタンドが100キロリットル売るのであれば、ライオンズ石油では300キロリットル売って利益を上げる。ある時は、近隣のスタンドの売り上げを全部吸い取ってしまう。というような勢いで、安売り攻勢と、積極販売をしまくっていました。社員は、世代の割りにかなり高めの給与であったようでした。

 税金が安かったフェルの販売時には、特に大忙しであったようでした。
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無印のガソリンスタンド - 吉田つとむ 03/03-23:05 No.5854

 ガソリンスタンドの大半は、元売の系列販売店であり、スタンドの壁等にそのデザインが入っています。ただし、一部のスタンド絵では、そうした元売のマークやデザインが入っていないガソリンスタンドがあります。そうしたところは、独立系のガソリンスタンドであり、「無印」と呼ばれていました。

 当時の精製メーカー(元売)は、国内で全部の石油製品を原油から製造しており、しかも灯油や軽油を製造原価に比べ安く政策的に販売していました。結果的に、日本においてはガソリンがその製造価格に比べて高く販売されていました。

 その結果、メーカーに取っては、ガソリンの製造割合をより多くすれば、利益が出る構造になっていました。系列に各種石油製品を流すだけでなく、無印のスタンドを対象にした卸売業者にもガソリンを流していました。

 そうした系列外の流通にあるガソリンを購入して販売するのが、無印のガソリンスタンドでした。

 ライオンズ石油など、その目だった存在でした。
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ライブドアの申請が認められる - 吉田つとむ 03/11-23:42

 日本放送が「新株」を発行し、その購入予約権を「フジTV」与えるに措置を取ろうとしたことに対して、ライブドアがその「差し止め」を求める請求を東京地裁に出していました。本日、東京地裁は、その差し止めを命じる仮処分決定をしました。

 これによって、フジの優位性は一挙に薄まってきました。少なくとも、ライブドアが日本放送の最大株主であることは、ゆるぎないことになります。

 これによって、日本放送側が、あくまで裁判で戦おうとするか、ライブドア側と一定の妥協を計ろうとするか、予断を許さない事態です。

 興味を持って、ライブドアの動きを見つめたいと思います。
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<注:「ライブドアの申請が認められる - 吉田つとむ 03/11-23:42」の記事には、 「正論路線 - サム 03/12-16:33 No.5921 」というレスがつきました。観点がまったく違うものからの記事でしたので、別の形で記事を作成します。
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