インターネットを活用した政治活動
町田市議会議員 吉田 勉



<はじめに−選挙に活用されたインターネット?>

 平成12年10月15日、長野県知事選挙において、政党の支援を受けない、田中康夫氏が無党派候補として圧勝した。勝因はいろいろ挙げられているが、選挙前のインターネットの活用もあげられ、その期間中にはメーリングリストが多用されたという。また、この年の衆議院選挙では、選挙運動へのインターネット利用解禁が話題となり、利用禁止を逆手にとって、その手法を広げた議員の出てきました。
 このような側面から見ると、選挙運動の広告宣伝媒体や、運動の手法が大きく変わってきたとも見ることができます。

<本文の見出し>
1 自治体議員と縁が無いインターネット
2 周辺社会環境とインターネット
3 自治体議員はインターネットと無縁で済まない
4 急速に変わる議会の情報発受信の多様化
5 議員のインターネット利用は不可避
6 住民から比較される時代を迎えた議員の日常活動

<自治体議員と縁が無いインターネット>

 一方、大半の自治体議員にとっては、ホームページを見たことなく、電子メールアドレスも持っていないのが現状でしょう。わが森総理と同じように、自分の自治体に行政のIT革命を図れと唱えても、自らはパソコンをさわろうともしないのが、議員諸氏の姿でしょう。
 なせならば、市町村会議員には、選挙戦でビラを作って配布することも禁止されています。わずかに政令指定都市議員選挙の場合、候補者名を書かない政党の政策ビラが認められているに過ぎません。実際の市町村会議員選挙では、組織や団体の支援を取り付け、数多くの会合に出席し、足を運んで地域を固めることに尽きるのではないでしょうか。そのような環境で、選挙をやっている議員や、政党党員・議員後援会員の人たちに、IT革命が近いことを説明しても、残念ながら理解してもらえないでしょう。


<周辺社会環境とインターネット>

 ただし、地方の小・中学校には、インターネットパソコンがどんどん導入されています。市民センターや公民館にも、同様なものが配置されようとしています。行政の生涯学習活動の支援プログラムで、インターネット講習は最も人気の高い講座のひとつです。
 子どもがいる家庭では、自宅でもインターネットパソコンを購入し、ゲームや学習に利用することは、ごく当たり前になってきました。高齢者や、専業主婦の場合は、公共施設などで講習を受け、趣味の領域を手始めに、その利用がどんどん進んでいるのが現状です。個人で写真や動画つきの電子メ−ルを送る人たちもおります。
 会社員の場合は事業所で、業務情報の送受信に、営業・セールスマンの場合は、いち早く、携帯電話が普及し、出先でのデータの送受信を行ってきました。  戸外では、送受信機能を持つ携帯パソコンを日常的に使っています。
 さらに、インターネットパソコンを自由に操作することによって、個人で自分のウェップサイトを開設する人も増えています。また、他人が開設したホームページの掲示板に、コメントを書き込むことはもっと簡単にできることです。
 さらに重要なことは、国がこれらの事業支援として、多額の財政投資を計画していることです。ことの賛否は別にして、まず、個々人の生活に情報技術の革新が起きることは、回避できない状況となりました。


<自治体議員はインターネットと無縁で済まない>

 つまり、書類の<はんこ>決裁に固持するお役所内部や議会を除いた社会では、急速にインターネットが普及し、デジタル情報を取り扱うことは、日常生活の一部になっています。
 しかし、何ゆえか、政治の場面ではインターネットの取り込みが、極端に遅れており、議会や議員の場合、携帯電話を多用することは多くても、電子メールを利用する人はまだまだ少数派です。ホームページを持つ議員など、ごく一部に限られているのが現状です。
 しかし、社会ではインターネットの利用が一般化し、電子メールでのやり取りが常識化しているため、議員がそれらを使いたく無くとも、いずれは取り入れざるを得ません。FAXや携帯電話が使用される以上の頻度で、電子メールの利用せざるを得ません。


<急速に変わる議会の情報発受信の多様化>

● 議会のホームページ

 遅れていたわが町田市も、平成12年7月に議会のホームページを開設しました。議会・議員の紹介と定例議会結果の概要です。ささやかですが、議員の一般質問と理事者の答弁が簡単に紹介されています。次回の定例議会スケジュールも掲載されています。
 まだ始まったばかりですが、定例議会結果の概要のバックナンバーを全部残していくわけですから、議員の一般質問の集積は、4年間で質問を一度もしない議員と、毎回質問をする議員とでは、明白な違いを見せることでしょう。

● 議会議事録のインターネット公開

 町田市は実施していませんが、議事録をインターネット公開する自治体議会が増えてきました。町田市議会の議会改革特別委員会が、平成12年10月に視察をお願いした2市で、議事録をインターネット公開していました。
 その視察先の富山県小矢部市では、インターネットパソコンが5台も配置された図書室(町田市は、わずかに1台)において、インターネットによる議事録検索の方法を、パソコン操作を得意とする中村重樹議員(小矢部市議)さんから、直接に説明していただきました。

● 議会のリアル中継(魚津市はインターネット中継)

<魚津市の例>
 結論的には、都道府県レベルの一般都市レベルで、議会のインターネットを利用したリアル中継が行われていることに、委員全員が理解を得ました。(導入の賛否は別)

<小矢部市の例>
 議員全員協議会のテレビ放映を視察しました。視察の決定後、議会の審議内容テープを保存していただいており、その状況を一部、放映していただきました。内容は、予算特別委員会の模様でした。本会議だけでなく、議員全員協議会、予算特別委員会まで公開されている例は、一般市議会では、いまだに例が少ないのではないでしょうか。さらに、その予算特別委員会で、全員の議員が新人議員より順に質疑をするそうです。議員の質、レベルが一目瞭然です。
 そうした体制となった経緯を含めて、議会運営委員長の前田勝治元議長さんから、議員のあり方に関して、議会の改革とは議員の意識の改革ではないかとする、感銘を受けるお話を受けました。

<大東市の例>
 インターネットによる議事録検索システムの視察が主目的でした。今回は3市とも全部の議会本会議場を視察した関係で、新しく導入された、議場のテレビ放映システムも視察しました。議会職員が手元操作で、それぞれのテロップを簡単に入れ込めるシステムが採用されていました。ここでも、岩渕弘議長、寺坂修一議運委員長さんから、議員としての効果を、面白いエピソードを交えて、直々の説明を受けました。

<三市共通事項>
 現状における、住民の反応は?の感があるようですが、テレビ中継を見る職員への意識向上につながる意義があるとのことでした。今まで、議会に関心の持ち様が無かった多数の職員に、意識の改革をもたらしていることは必然です。
 そのような状況下、議会の場で何も発言しない議員が、自分をアピールすることは、至難の技ではないでしょうか。明日、そうなることはありませんが、次回の統一地方選のころには、もっと多くの自治体が、テレビ中継・インターネットによる議事録検索システムを取り入れることは、間違いありません。


<議員のインターネット利用は不可避>

 わが町田市議会の議員は、今日までに、4名が自分のホームページアドレスを公開しています。他市の人から見ると不思議に思われるかも知れませんが、全員が自民党議員です。私のホームページの議員リンク集には、町田市議会議員のホームページにリンクしています。公開はしていないが開設済みの議員が数名、他に開設準備中の議員も数名いるようです。歓迎すべき事なので、それらの皆さんのホームページを、本人がオープンにされ次第に、私のホームページの議員リンク集に掲載すると言っています。
 他の議員が持っていて、自分は持っていないということは、大変なハンディー キャップとなります。
 議員個人以外にも、政党の地域組織や議会の会派で、ホームページを開設するところも出てきました。わが町田市でも、自由民主党町田支部として、平成12年8月1日に開設しました。一般公募した、ホームページのキャッチコピー募集には、14名の応募者がありました。さらに、一般投稿もあり、政党と住民との双方向性を持った、情報交流の場となってくるでしょう。


<住民から比較される時代を迎えた議員の日常活動>

● 議会ホームページにおいて、議員発言頻度と発言内容が比較される

 あまり品の良い話で無いですが、議会ホームページが充実してくると、議会の有力ポジションを取り合い、自分がホームページの目立つところに登場する様に競ううことも起きてくるでしょう。
 議員個人としては、更新されるホームページに回数多く登場することを考えるでしょう。一般質問のテーマにもはるかに気を配る時代を迎えました。委員会の役職も、大いにもてはやされるでしょう。
 議事録検索が、インターネットを通じて行えるようになると、個々人の議員発言をいつでも見比べることができます。

● 議会テレビ中継において、議員発言頻度と発言内容が比較される

 テレビ中継を見る職員への意識向上につながる意義を述べましたが、当町田市では、一般職員は、議員や上司が議会で業務の状況をどのように話しているか全く知ることが出来ません。特に、議員は一般職員の厳しい目に触れることになります。
 町田市でも、もう少しケーブルテレビが普及したならば、そしてインターネット議会中継が実施されたならば、市議会がもっと身近になります。一般質問でも、自分が知っている議員だけでなく、それぞれの議員発言を見比べて比較することができます。

● 政党地域組織のホームページで、活動状況の優劣が判明する

 議員個人以外にも、政党の地域組織(=自由民主党町田支部など)で、ホームページを開設するところも出てきました。わが町田市でも、自由民主党町田支部として、私が広報部の部長につき、平成12年8月1日、ホームページを開設しました。
 町田市の他の政党支部で、ホームページを開設する計画は聞いていませんが、自民党ホームページへの一般投稿でも、各政党ホームページが出来て、比較できることが期待されています。
 生意気なようですが、他党との競合の中で、自民党ホームページを磨いていこうと考えています。また、同じ党内においては、他者から見本とされるような、目標とされるようなサイトを作ります。

● 政党議会会派のホームページで、政策と活動状況の優劣が判明する

 政党支部のホームページ以外に、議会の会派で、ホームページを開設することも必要です。東京都区部では、議員団で自前のホームページを持つところも出てきました。
 住民に身近な存在ということからすると、自治体議会の会派=議員団のホームページの開設こそ必要であり、幅広い住民意見をキャッチする能力が問われます。

● 個々の議員の優劣が赤裸々に比較される時代が来た

 わが町田市議会議員のホームページは、私のホームページの議員リンク集にリンクしています。現在までに、サイト名を公開された4名の氏名とそのホームページの特徴を書き込んでいます。
 今後、他の議員が公開され次第に、私のホームページの議員リンク集に掲載すると言っています。
 私の考えは、全ての町田市議会議員がホームページを持ち、議員同士もお互いに内容比較をする。
 住民は、自分の関心あることを問題ごとに比較をする。誰が、一番将来を見据えた見解を持っているか。今日の課題に一番適正に答えているか。議員の政治家能力を問われ、その優劣が、赤裸々に比較される時代が来たのではないでしょうか。
 私は、初期の開設以来、自分のホームページのトップページに、次のように書き込んでいます。

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情報公開のエキスパート・町田市議会議員・市議会自由民主党副幹事長
吉田つとむはインターネットを武器とする!


●情報公開は<自己開示>の時代を迎えた!吉田つとむは、地方議員の活動とはどのような「行動と発言あるいは態度であるべきか」を発信続ける。
<このホームページを通じて、私の考えと行動を監視し続けて下さい。>  
 
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