都議選挙予定候補者の事務所まわり同行(第2回)
                                     インターン記録レポート     町田市議会委員・吉田勉

作 学生氏名  村上直子                                                   年月日 (2001年05月29日)
都議選挙予定候補者の事務所まわり同行(第2回)

構成
  1 本文
  2 吉田の注
  3 吉田の後書き・感想

 1 村上さんの本文 

 午後から東京都議選候補者の選挙事務所まわりに同行した。今回は、合計3つの事務所を訪れた。今回もまた、それぞれの候補者の特徴が選挙事務所の雰囲気として出ていたと思う。(注:1 吉田の注)

 まず一つ目に訪れたところは、奥さんが一人で待機していた。候補者本人は、活動中ということだった。候補者の奥さんからお話を聞くことが出来た。私は、今回実際にここの候補者には会っていないが、奥さんの話から、彼がどのような性格なのか、政治に対して、また、社会に対して、どのように感じているのかがよく伝わってきた。彼女からは、彼女自身の教養の深さと、自分の夫に対する絶大な信頼、そして自信を伺うことが出来た。吉田さんいわく、「これぞ政治家の妻」。色々なタイプの「政治家の妻」がいるだろうけれど、このタイプの女性に支えられている候補者は、心強いと思う。しかし、相当自分の信念を持っていないと、考え方や行動を操られそうな気がした。

 二つ目に訪れた事務所は今までいった事務所とは、対応の仕方が少し異なっていた。事務所は駐車場も広く、駅からもそう遠くはない。しかし、事務所の中へ入るとなぜか長居できないような雰囲気を感じた。あとで気付いた事だが、選挙に関してあまり知識のない人が待機していたようだ。だから、吉田さんと私に対してどのように対応したらよいのかがわからなかったようだ。吉田さんは、一つ目の事務所と比べ、「始めの事務所の対応が正しい。」といった。事務所を訪れた人に対して、政治に関して少しの間、話し込むくらいの対応がよいということだと思う。

 最後に訪れたところは、相当の人員が待機していた。忙しそうにビラを折っていたり、電話をかけていたりしていた。私は、今までいろいろな事務所を回ったが、始めて忙しそうに活動している場面を目にした。選挙活動が本格的になってきたら、これ以上に忙しい毎日を過ごすそうだ。一体どんな雰囲気になるのか、興味がある。この事務所では、今回初めて候補者本人に会うことが出来た。そして、とても忙しそうにしていたが、吉田さんが来ているとわかると、暫し座ってお話をしていた。帰り際には、エレベーターの前までお見送りをしてくれ、吉田さんに対するお辞儀は、直角、そして、扉が閉まるまでずっと頭を下げたままだった。私からすると、直角のお辞儀はやりすぎではないかと感じたが、吉田さんは、「本来はあのような対応をするものだ。」と言った。この候補者は若手の新人だが、事務所の雰囲気から、当選するに違いないと思った。私は、この候補者に対し、「何か行動を起こしてくれそうだが、全てを任せても良いだろうという気はしない。」と吉田さんに伝えた。しかし、吉田さんは、「議員は、任せられるかどうかというより、何かをやってくれそうだという、そういった行動力のほうが大切。」と答えた。それを聞いて議員という職業の役割を改めて認識し、その意見に納得した。
 
 今回の事務所まわりで不思議に感じたことがある。吉田さんは、各選挙事務所の人に吉田さんの知り合いが載っている有権者のリストを渡していた。名前だけでなく、住所と電話番号まで載っている。どうするつもりなのかを問うたところ、有権者を紹介しているのだと教えてくださった。そして、実際に吉田さんが、事務所からその有権者に電話連絡を入れ、その後に候補者本人がその有権者によろしくお願いしますと電話越しに話していた。これは、吉田さんにとっては選挙候補者を応援していることにはなるが、いきなり電話がかかってきた有権者のほうは、どう思うだろうか。知らないところで、自分の住所などの個人情報が漏れていると感じるのではないか。政治家を応援するということは、そういったリスクを負うことを伴うものなのか、と疑問に思った。(注:2 吉田の注 ここは特に、吉田が電話をしていたことで、注が必要)

 吉田さんに同行し、かなりの選挙事務所を見たが、今回も事務所の雰囲気や、対応の仕方について、そのようにすべきなのかに関して新しい発見があった。このように、多くの事務所を見て比較し、分析する。そして自分の選挙時の事務所作りに生かすという吉田さんのやり方は、大変だが、有効な手段になるだろうと感じた。


2 吉田の注

(注:1 吉田の注)
 (吉田と村上さんが、この間に訪問しているのは、選挙事務所でありません。後援会事務所、もしくはその連絡所です。選挙の時期になると、選挙の事務所を別に作る人もいますし、後援会の事務所を選挙事務所にする人もいます。選挙の期間に、再度訪問するところもありますので、そのことが確認できると思います)

(注:2 吉田の注 ここは特に、吉田が電話をしていたことで、注が必要)
 (まず、いきなり電話をしているわけではないのです。現職の都議(市・区)会議員の場合は、4年前の前回も相手の人の紹介電話をしています。必ず、住所・電話を教える場合は、相手の承諾を得ています。さらに、時折、吉田の議会レポートも送っています。また、吉田が電話をかける内容は選挙の依頼をしているのでなく、あくまで、吉田がその相手の事務所に訪問で来たと言う、知らせです。これは、プライバシー上の大事なことなので、特記します)


3 吉田の後書き

 インターン生の村上直子さんの、都議予定候補事務所訪問、第2回目の文章です。大変、よく相手を観察し、参考意見を提出してくれています。村上さんは、今まで、そうした事務所を見たことがありませんでしたので、新鮮な感覚で意見を述べています。
 下段は、吉田が、説明のために書き加えたものです。

1 選挙の活動と準備(事前運動の禁止)ーあえて、再掲する
1) 私たちが今回たずねたのは、各都議会議員及び、その立候補予定者の事務所です。
選挙の候補者と言わない、言えません。
今回、訪問した相手が、今日の段階で選挙運動をすることはありません。選挙期間以前に選挙運動することは、選挙の事前運動と言うことになり、それは禁止されています。
2) 選挙運動ができるのは、選挙の立候補受付が完了してからです。それ以前に行う政治家の活動は、選挙運動でなく、あくまで議員活動か、後援会の拡大・広報活動です。
3) 選挙運動期間に入る前の事前にできることは、事務所・車両など借り上げの内交渉、届け出書類の準備等、ごく限られた範囲です。法律の解釈説明をした解説本も出ています。
4) 政治家のパンフレットやポスターは、選挙のために作るのでなく、あくまで後援者を増やすため、自分を知ってもらうための討議資料に相当します。(追加:選挙時には、別途専用のポスターを作ります。

2 政治家と首長の違い
 新人の予定候補者の事務所に訪ねました。村上さんは、 「何か行動を起こしてくれそうだが、全てを任せても良いだろうという気はしない。」と吉田さんに伝えた。しかし、吉田は、「議員は、任せられるかどうかというより、何かをやってくれそうだという、そういった行動力のほうが大切。」と答えた。村上さんは、「それを聞いて議員という職業の役割を改めて認識し、その意見に納得した」と、しました。吉田の考えでは、議員と首長の違いがあると思っています。ただし、村上さんの判断は、最後まで大切にして下さい。どちらの考えが正しいか、結果がでるのは今回の選挙が終わってから、いや何年もたってからのことです。

3 吉田の紹介と、名簿の提供
 この件は、上の段落(吉田の注2)で説明したように、相手のプライバシーを一方的に明かすようなことはしません。あくまで、相手の方に、紹介することの了解を取って、案内しているものです。吉田を十分に知ってくれている人ですが、その相手から紹介されることを拒否されることもあります。