講座U「対談〜住民とともに歩む」報告(大守 裕)
第9回清蹊セミナー 講座U

<講師>海東英和氏(滋賀県新旭町長)
      白井 文 氏(兵庫県尼崎市長)
 (まとめ:早稲田大学鵬志会 大谷 裕さん)

講座U 「対談〜住民とともに歩む」

○感想
講師のキャラクターがここまで対極にある対談もめずらしい。白井市長は話し方がうまく、その勢いと独特の関西弁で聞く人をひきつける。一方の海東町長は、口調は穏やかながらユーモアを交じえ斬新な改革を次々と紹介し、聞いている人に知性を感じさせる。つまり、逆に言えば、今社会に求められているのは個性の強い首長だ、ということであろう。個性の強い人の話は面白い。あっという間に2時間が過ぎてしまった。
しかし両方の首長に共通して感じたことが3点ある。それは底抜けのない明るさと、何を言われても簡単には打ちのめされない精神力、そして物事を前向きに考える良い意味での楽観主義者であるという点だ。
首長という職業は市民や町民のみならず、同時に議員や職員からも人望がないと続けられない難しい職業である。地方政治への理解が深まったのはもちろんだが、今回この講座に参加してみて、人間管理のお手本を見ることができた気がした。

○内容
講義は前後半に分かれて行われた。前半部は「自分が首長になった経緯」や「現在取り組んでいること」をテーマにして行われ、白井市長が「市長や市議が国や県の方ばかり向いていて市民の意見が通らない現状に憤りを覚え、市長に立候補した」と熱弁をふるえば、海東町長は合併を目前にした小さな町の町長という立場から、「情報公開」「意思疎通」を重視した現在の町政を熱く語った。また講義の後半では、市民との協同というテーマに沿って、どのように市民の意見をとりいれていくのか活発な議論が行われた。白井市長がサイレントマジョリティーの問題を提起すれば、海東町長は町民と一緒に事業を実現することによって、町民の意見をただ聞くだけにとどまらないようにする工夫を、具体例を交えて紹介した。一方で行財政改革や入札制度などでは他の自治体同様、苦労している面も多々話題にのぼり、さらに上のレベルを目指す両首長の意気込みがまたはっきりと感じられた。

文責:大守 裕