講座X「市民の自立が地域を変える」報告白石 正治
第9回清蹊セミナー 講座X

<講師>(穂坂 邦夫氏(埼玉県志木市長)
 (まとめ:早稲田大学鵬志会 白石 正治さん)

「講座X 市民の自立が地域を変える」 

≪要約≫
 県職員・市議・県議としての活動を生かして、埼玉県志木市では市民参加の市政・徹底した情報公開を目指している。その中で、地方自治体は今までの市町村<都道府県<国といった意識から脱し、国政にみられるような党派や会派中心を超えた緩やかな議会運営を行いより市民の側に立った市政がよいと考えている。地方自治法から50年、農村中心であった地方の現状は変わったのに、行政制度に大きな変化が見られず、土台が変わったにもかかわらず上が変わらないという現状に問題があるのではないか。国による地方自治体の護送船団方式を脱して、地方から意思を発信する努力が必要だ。行政体は持続するのがあたりまえであると考えられていた時代は終わり、非営利独占的サービス企業(+特殊性)としての行政体を作っていく必要がある。そのためには、市民にその必要性を認識してもらい市民の自立を促すことが重要になっている。例えば志木市では各課に対応した部会を作り、市民を委員募り議論していただくなど、積極的に"地方にできることは地方で"という地方からの改革をすすめている。(457字)

≪感想≫
 志木市長の講演は私にとって新鮮であった。なぜなら、淡々と論理を述べられるだけではなく、『私はこんなことを実際にやりました』という内容を具体的にお話されていたからである。氏の講演の中で、こんな内容があった。教育に関するお話であったが、少人数学級に関する政策のお話である。文科省の方針にはない少人数学級実現のために教員を増やす費用について、氏は県に次のように言い放ったそうだ。「県が協力してくれるなら、半分負担して頂きたい。それが無理なら、市が負担するので許可を出してほしい。それでもむりなら『やります。』」と。地方自治体が市町村<都道府県<国という古いヒエラルキーから脱し、大きな一歩を踏み出している確かな証拠がここにあるのではないか。氏は講演の中で、「市民の自立こそが地方自治体を変える大きなキーワード」として様々な改革を紹介されていた。今回の講演を聞いて、氏のおっしゃっていた「『やりますから(許可をください)』ではなく『やりましたから』」と自信をもって言える地方自治体がこれから求められているのだろうと強く感じた。(459字)

文責:白石 正治