講座Z「郵政民営化の行方」報告(高橋 宏輝)
第9回清蹊セミナー 講座Z

<講師>福岡 政行氏(白鴎大学教授・清渓セミナー常任講師)
 (まとめ:早稲田大学鵬志会 高橋 宏輝さん)

講座Z「郵政民営化の行方」

『郵政民営化の行方、福岡政行先生の講演を聞いて』

小泉政権の政策の柱のひとつである郵政民営化についての福岡先生の考察は、この問題の性質上、郵政民営化の行方のみにとどまらない、小泉政権のもろもろの政策、さらに言えば戦後の日本の政治史を広い視点でとらえ、理想のリーダー像、首長のあるべき姿にまで言及した、非常に興味深いものであった。そもそも、小泉総理の推し進めようとしている郵政民営化は、総額で400兆円ともいわれる郵便貯金や簡易保険等の資産をめぐる、外交的な問題だと福岡先生は言う。郵政民営化の後この400兆円は野に放たれるわけだが、現在の日本の金融機関にはこの金を運用するだけの体力がない。とすると外国資本がこの金を運用することになり、最終的には円がアメリカに流れることになるという。小泉総理は、この郵政民営化と引き換えに外交的成功、具体的には北朝鮮問題の解決や国連常任理事国入り等をはたそうとしているのだろうと福岡先生は見ていた。
続けて福岡先生は、小泉総理の最近の姿に絡めて、リーダーに必要な三つの要素、耳、心、決断力という話をした。耳とはつまり、人の話に素直に耳を傾けることができるか。心とは、住民の心をしっかりくみ取る事ができるか。決断力とは、適切な状況判断をもとに決断を下し、結果を出すことができるかという事である。そして首長は光のあたらないところに光を当てる、そういった政治を心がけなければいけないというメッセージでこの講演を締めくくった。

文責:高橋 宏輝