東京ねっとわーく勉強会の報告(行政の映像システム導入について
9月29日開催 富士通訪問

 以下の記事は、「インターン記録レポート(16)土屋 洋 富士通netCommunity勉強会」を転用。最後に、富士通の担当者からのコメントを添付しました。

 勉強会の内容は主に「1、行政CRMの利用による、行政の即時対応化」「2、個人認証およびセキュリティーシステムの紹介」という2項目だった。
それぞれの大まかな特徴と、それについて感じた疑問点を述べようと思う。
まず1項目目。これは、今まで市役所の窓口で行っていた手続きを、PCを使ったオンラインによってできるようにし、役場をわざわざ訪れる必要をなくす。また、それらの諸手続きや質問などはデータベースとして全て記録されるので、効率化が時間が経てば経つほど進む。オンラインで住民の方と役場の方が話す際、画面上にはモニターがありお互いの顔が見えるので、実際に会っているのと変わらない会話が可能となっている。そして、その会話をコンピューター自身が音声認識するので、それらもデータベースに残り、かつ円滑な作業を可能としている。コスト削減も大きな目的のひとつである。
このシステムは一見、大変便利ですぐにでも自治体が取り入れ、サービスの向上に励むべきだと感じるが、いくつか問題点があるように思った。
それらを当日に直接Fujitsuの社員の方に質問しても良かったのだが、周りにいらっしゃった議員の方々が主体の勉強会と考えたので、質問はできずじまいだったので、ここでも疑問系で話が簡潔する。
疑問点1、アクセスが殺到した場合、対応オペレーターを専属で雇う必要がでて、コスト削減にならないのでは。
 疑問点2、オペレーターを人が行う以外の方法はないのか
 疑問点3、住民から大量に送られてくるメールでの陳情処理も、各部署の職員が行うのか。通常業務以外にそうした作業が入り、迅速な対応が本当に可能なのか。
● 吉田 つとむ
 こうした質問には、メーカーさんが答えていただいたほうがよいので、私が適当な方法でこの質問を「転送」しておきます。ただし、私が自分なりに理解している範囲で、土屋さんに説明しておきます。

 まず、疑問点1に関して
 通常のやり方(町田市など)では、自治体の代表電話に電話をかけると、電話交換手の人(今は、外部委託業務)が用件を聞き、担当部門につなぎます。(従来の例では、その用件はうちの部門ではないと言って、それ以上話を聞かないのが役所の特徴でした。(町田市に限ってそれはないと思います)あるいは、担当部門に電話をかけても取り次ぐ人がなかなか電話にでないことがよくあります。つまり、電話をかけた人は受話器を持ったままで、待ち受け音がなっているというケースです。これは、町田市などでもたびたびあります。
 そうしたケースを解消するため、市民の質問に答える専用のオペレーターを配置しようと言う考えです。そのためには、質疑・応答の例示をデータべース化する必要があります。これによって、ルーチン化できる市民の問い合わせを、その都度、担当化職員が応答しなくともすむことができるわけです。
 そのことをシステム化して、施設や人員も外部に委託するのがコールセンターです。横浜市では、すでにその方法を採用していると思います。民間の企業では「沖縄」に専用のコールセンターを持つところもあります。代表例には、NTTの電話番号問い合わせがあります。

疑問2
 ある部分は、機械化されているものもあるでしょう。たとえば、荷物の宅配で、再配達の申し込みは電話番号の番号を順に押す方法で可能となっています。その他にも、ルーチン化できる分野では、オペレーターを介さないで機械的に処理がなされていると思います。

 疑問 3
 思うに、人の行政需要に限りはありません。コールセンターで市民の照会事項が処理されても、そこでは解決不能な課題が新規にでてくる可能性もあります。いや、出てくるでしょう。なぜなら、これから社会がより高度化してくると、行政への需要も高度化して、コールセンターでは対処しきれない行政業務が出現するものと思います。そうした意味では、新しいシステムを取り入れても、一方で新規の行政職務が発生し、果たして職員のみなさんが迅速に対応できるか、それは疑問です。

● 土屋 洋
2項目目。個人認証の手段として今までは暗証番号を利用してきたが、これは単なる数字入力であったので、他人が成りすましをすることも可能だった。そこで、指紋など個人がそれぞれひとつしか持っていない身体的パターンを登録することが進んできている。今回紹介されたのは、静脈認証だった。これは指紋と同じようにセンサーが登録されている静脈パターンを認識するシステムだ。静脈は体内のパターンであるため、指紋よりも盗まれにくいという話だった。

もうひとつサインの認証も紹介していた。このシステムの体験者として「吉田さん(勉さん以外の)」がまず登録して、そのあとに吉田勉さんがなりすましとしてサインを書いていたが、あっけなく不適合となったので面白かった。
ここではセキュリティーの紹介で終始していたので、別段疑問は生まれなかった。

● 吉田 つとむ
 時あたかも、この勉強会の数日後には、日立とオムロンでは指認証(指の指紋認証)を用いた金融機関向けのCDを開発したニュースが発表されました。それぞれに言い分は相手の欠点も踏まえて、自社の機械をPRしているようです。
 デモ方式でしたので、自署式サイン方式の「なりすまし」モデル実験をやってもらいました。土屋さんが書いているように、おもしろい技術の方法でした。
他の機械では、世田谷区が導入する「住民票などの自動発行機」も配置されていました。また、映像を用いた行政サービスがテーマだったため、「議会中継」の話も交えていただきました。

● 富士通担当者のコメント
・疑問点1
  吉田先生の理解されている内容が一番適切な回答と思います。
  質疑、応答の事例をデータベース化することにより、良くある質問
  によっては、オペレータで対応が可能となります。
  職員様も業務多忙のなか、市民への対応を行わなければなりません。
  言葉は悪いですが、市民から「電話をたらい回しされた、色々な部門
  に回されたが、結局内容がよくわからなかった。」等の気持ちをいだか
  せる可能性もあります。
  良くある質問だけでも、オペレータが対応行うとコスト削減には直接結びつかない
  とも考えられますが、職員様の業務の効率は上がると考えられます。
  また、質疑等をデータベース化することにより、役所への質問事項
  市民からの要望も分析することが可能となり、今回ご紹介した、
  行政CRMは市民サービスの向上のためのツールとして活用できると
  考えております。

疑問2
  インターンの土屋様の疑問は、大変興味深く思いました。
  私どもメーカは、人を使わないことがコスト削減につながり、良いことだと
  考えシステム化をしてまいりました。しかし、自治体様は市民との接点の
  非常に多いお仕事となります。市民の目からみて全てオートメーション化
  する事が、BESTなのか?
  お年寄りや子供、身体の不自由な方のことを考えると、適材適所で導入
  することが、良いのではないかとメーカも変化しつつあります。
  オペレータは、市民にとっては大切な存在では無いかと考えております。

質問3
  本質問については、メーカとしても明確な回答ができません。 
  吉田先生のご回答が適切な回答かと思います。
  明確なご回答ができず申し訳ありません。


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