令和2年1月29日―30日
個人視察 町田市議会議員 保守の会 吉田つとむ
● 「私立大学の公立化の実際」~福知山公立大学を実例として~
講師:杉岡秀紀 准教授 「福知山公立大学北近畿地域連携センター長(地域経営学部)」
以下、提出予定の個人視察報告ですが、所感部分のみをアップしました。
福知山公立大学 杉岡秀紀 准教授の講演では、若年齢層の減少、受験期の18歳年代が大幅に減っていること、それによって大学の現状が大きく変わっている様子が説明されました。国公立では、大学の位置づけ(研究に特化、地域に貢献する)が問われ、それが進展していること、私立では規模縮小、閉学が進んでいる一方で、公立大学が増大している様子が資料で述べられました。
福知山公立大学も、そうした中で誕生したようで、「市立」ということがあって、その設置に当たっては、市議会は大激論となり、1票差で決したとのことでした。ただし、その様相は大きく変わっており、旧来の学部を編成し、理科系の学部を新設する勢いで新しい様相を示しています。
翻って、各地にある私立大学の多くは衰退、あるいは廃校の憂き目に多くが見舞われるのではないかと思う時もありました。町田市内では、東京田中短期大学:2010年に廃止と、東京女学館大学:2017年に廃止があり、特に後者とはインターンシップ受け入れで単位制を容認していただいた最初の大学であり、その廃止はとても残念な気持ちを持った経験がありました。
ただし、今後に起きうる各々の大学の存立は一私学の経営に留まらず、地域を巻き込んだ政治課題になることを、この福知山公立大学の創立、運営を通じて学びました。一方で、町田市の場合の私立大学で、比較的に大規模な玉川大学(幼稚園から大学院まで経営)、桜美林大学(小学校を除いて、幼稚園から大学院まで経営)と、和光大学(幼稚園から大学院まで)、さらに鶴川女子短期大学(こども教育部門)があるだけに限らず、大規模な法政大学多摩キャンパス(経済・社会・現代福祉・スポーツ健康学部、および大学院)、さらに国士館大学町田キャンパス(21世紀アジア学部と体育学部こどもスポーツ教育学科)、また、東京家政学院大学(生活デザイン学科、食物学科、児童学科)があります。個別にその動向に関して気にかける必要があると思っています。
杉岡秀紀先生の講演を通じて、今後の私立大学において厳しい環境があっても、それが一様に廃止に向かうのでなく、新たな展望を「公立」というあり方があり、全国では多くの例と、低迷していた私立大学が一挙に、あるいは大きく飛躍をする例に関して全国各地の新設大学の具体的な数表を提示された上で、聞かせていただきました。現在では国立大学の総数(82)を超え、公立大学は93校になっているとのことであり、その一つがこの福知山公立大学であったわけです。
そうした新設の公立大学では、学生募集の圏域を拡大し、この福知山公立大学の設置後では、入学学生が地元周辺から、全国に拡大して、9割が他の地域からの入学であるそうです。(具体的な数字を上げていただきました)
こうした大学の転換には、教育基本法、学校教育法の改正が大きく関わっており、「成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」方針を学校運営の基礎に起き、それを実践する経営力が問われているとのことでした。
公立化に当たっては、経営・教授陣を充実させていました。ステータスや民間で活躍した人材の投入も図られているのが特徴でした。単に、公費投入で生き返るというものでなく、新入生が期待を寄せる魅力の情報発信がまず大事だと思いました。
自治体の公費が投入されるため、大学の地域貢献が大きな意味が必要であり、行政と議会の双方に支持を充実される必要が継続していないと意見しものでした。キャンパスを街中にも配置し、住民が自由に出入りできる環境づくりも構築されている、成果発表も地域を巻き込んだものとの説明でした。とにかく、目星をつけて、受験生に選択される途を選択するのが功を奏していると思います。
大学は、今に言う偏差値を上げれば、入学希望者を増やすことは可能であり、ただし、それだけでは、国立大学や有名私立大学に抗せず、独自の施策が欠かせないようです。具体的には、地方大学の福知山公立大学にとっては、全国から呼び込んだ学生の居住環境、バイト環境を確保し、さらに学内ではサークル活動の促進まで図っているとのことであり、大学には総合的な経営管理能力を持った人材とその運営方針の継続が何より優先するべきものと思いました。
そうしたハード、ソフトの条件整備を図ること、地域住民の意識の変化、持続が欠かせないと思いました。
福知山公立大学 杉岡秀紀 准教授の講演は、私にとって、新しい見地を勉強する機会になりました。それは、地方自治体側から見ると、この経営基盤を無くした、あるいは脆弱になった私立大学の公立化は、意外とその都市の衰退を防止し、新しい発展につながる契機をもたらし、文化を含めた新産業創造の芯になり得るものだと推測しました。単に、地方自治体の経営と言うのは、歳出を削減すれば良いというものではなく、限られた資金をどこのどのように投入するか、それが地域の域内循環につながりをもたらすか、地域の発展につながるか、新たな観点を学ぶことができました。
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