本日は、読書中の未完のファシズム(片山杜秀著)について、第3章、第4章に関して書き続けます。
片山杜秀氏は、第3章で、「参謀本部の冷静な『観察』について記しています。意外なことは、ヨーロッパにおいて、日露戦争で日本が勝利した経過に関して、良く研究されていたというものでした。ロシア軍が圧倒的な軍勢を有したことに対して、日本軍がどのようにして勝利することができたか、分析をされていたことを、資料によって記しています。フランスにおいては、軍の戦法の在り方まで影響を与えたこと、精神主義を鼓吹したことを記載しています。また、日本軍は、いち早く、近代軍備を備えた軍勢で第1次世界大戦をドイツと中国の青島において実現していますが、それがその後、国内で、あるいは国外で高く、あるいは専門的に研究評価されたかと言うと、それは極めて少なったようです。片山杜秀氏は、精神力があふれた歩兵による一発必中の時代から、大量の弾薬を有して機関銃や長距離砲を打ちまくり、相手陣地を攻略する時代に目を据えているわけです。そうした中で、日露戦争の陣地攻略において、正面からの歩兵突入が功を奏したのでなく、側面攻撃が陣地攻略につながったことを記しています。敵の死角をついた奇襲作戦があったこと自体が軽視されているわけです。
第4章では、日本軍の参謀がヨーロッパに見学をしたことを記しています。当時は、軍の参謀が駐在武官として外地に赴任しています。そこで、各種の戦争跡を見分し、日本に持ち帰ろうというわけです。こうした方法は、平時に限らず、戦争のさなか、対戦する軍について、現地でも学んでいるのが特徴です。そうした中で、タンネンベルク改選と言うものに関心が寄せられています。ドイツとロシアが戦った大会戦で、第一次世界大戦の初頭で、少数のドイツ軍13万人が大部隊のロシア軍50万人を包囲殲滅したもので歴史上の未曽有の包囲殲滅戦とされているというものです。少数兵力であるドイツは、その場にはごく少数を残し、軍の主力部隊を敵の側面に移動させ、奇襲的戦法で相手をせん滅させるという戦法で大勝利を得たものですが、そのヒンデンブルク大将に感服するように、日本の陸軍大学校の講義にも一般化されていくようになったというものです。本来は、日清、日露の教訓よりできるだけ兵士の生命の消耗を防ぐ、兵器・装備の近代化で軍力を高める路線を第一次世界大戦(ドイツと青島で圧倒)と取って、大勝利を示しておきながら、その路線をさらに強化する戦略を採用し、銃後の国力・産業力を高めて、民間の経済力が国家の戦闘力と言う合理主義が日本軍の主力の思考にはなっていっていない状況が分析されています。
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