視察一覧   議会活動   吉田つとむのHP


青森県つがる市などの視察報告 1 令和4年7月7―8日
◎水耕栽培メロン実証試験と将来展望
          個人視察 町田市議会議員 「無所属」会派 吉田つとむ

<概要>
 視察の届け出書に以下の記載をしました。
つがる市 水耕栽培メロン実証試験と将来展望(施設見学 ガラス温室)
*なお、宿泊先は、メロン水耕栽培用ハウスの温泉熱を利用した冬季の暖房源となっている(つがる市観光・ブランド戦略課 梶浦様の説明による)
 第2定例会で、以下の一般質問をおこないました。
表題 町田シルクメロンの栽培技法と販売について
(1) まちだシルクメロンの栽培技法の特徴は
(2) 町田シルクメロンの栽培技法の販売状況は
(3) 町田シルクメロンの栽培技法の拡大は
  製品としての町田市シルクメロンは元来、水耕栽培システムによるメロンの通年栽培を目的にしたもので、その水耕栽培システムが(他市に)どのように販売が進み、事業が行われているかを問うたものです。
 交流があった青森県つがる市からその開発状況を聞く一方、全体の販売状況を行政に調べてもらい、議場の議論で公にしました。
 そうした経過があって、行政がブランド開発の一環として取り組む、青森県つがる市においては、水耕栽培メロンの取り組みが実際にはどのように進展しているか、実地に視察する目的で現地施設を訪ねたものでした。
 水耕栽培メロンの実証試験を担当するのは、経済部 観光・ブランド戦略課でした。

 水耕栽培メロン実証試験施設内、梶原様と撮影。

 つがる市の特徴。冬場には、この防雪柵が目一杯の高さに組み立てられる。

 つがる市は、青森県中西部の市、2005年(平成17年)2月11日:西津軽郡木造町、森田村、柏村、稲垣村、車力村の1町4村が合併して誕生。市庁舎は旧木造町に設置。つがる平野が有名なように、広い平野が続く。
 主要な農産物は、コメ、リンゴ、メロン、スイカ、蓴菜(じゅんさい)があるが、メロンは全国第3位の出荷出るが、人口減による従事者の減少が課題となっている。

<特記事項>
つがる市の水耕栽培メロン実証試験の視察に関して、つがる市経済部 観光・ブランド戦略課 梶浦宏文 様(専門員)に大変お世話になりました。また、視察現地には、副市長の今 正行 様もわざわざ出向かれ、歓迎の言葉を頂きました。

 写真の右が、今 副市長です。


 現地で全面的にお世話になった梶浦様

<所感>

 まず、設備と拡張予定について

◆試験施設の主な設備
施設:幅15.0m×奥行6.75m=101.25㎡、栽培棚合計面積:40.0㎡(1株当り8.0㎡)(内訳:栽培棚4.0×8.0=32.0㎡+播種棚2.0×4.0=8.0㎡)
設備:栽培槽4台、播種槽1台、液肥槽1式(チラー・水中ヒーター、液肥自動調整器含む)

LED400w級照明器具(6灯)、加湿器1台、グリーンソーラー(加温機)1台、電動開閉保温シート及び制御盤1式、通信機器設備(温湿度及び水温管理機器、カメラ)1式。

〇増設計画
施設:幅15.0m×奥行26.25m=393.75㎡、栽培棚合計面積:243.6㎡(1株当り13.53㎡)1.7倍
(内訳:栽培棚5.8×21.00×2系統=243.6㎡)

設備:栽培槽18台、播種槽1台、液肥槽2式(チラー・水中ヒーター、液肥自動調整器含む)
LED400w級照明器具(37灯)、加湿器5台、グリーンソーラー(加温機)2台、電動開閉保温シート及び制御盤(センサーやスマホによる遠隔操作可)1式、通信機器設備(ハウス内WEBカメラ)2台


(吉田注:令和4年度予算に計上され、現在整備中でした。例にもれず、IC機
器の納入遅れで一部、工事が遅れる面があると聞きました)


 当該のつがる市の水耕栽培メロン実証試験施設は、既存のガラス温室を利用しています。上記写真にある通り、農林水産省補助事業である「農山漁村高齢者生きがい発揮促進事業」(平成9年度)に元づいて建設されて30年以上が経過した温室ですが、ガラス製ということで耐久力に優れ、今が第2の貢献で、当初の目的以上の成果(高付加の通年栽培メロン)が期待されます。
 また、下の看板に見られるように、郵便局の「簡保保険融資施設」であることがわかります。その意味でも、このガラス温室が有効利用されているものです。
 冬場の保温は欠かせませんが、訪問時は7月に入っており、メロン栽培には、40℃を超すような気温は適しないとも聞きました。


 ガラス温室の全景です。右側の5分の1ほどの屋根の形が少し違いますが、その部分が現在、水耕栽培メロンが植え付けられているスペースです。設備を運用していることがわかります。
 また、手前の小屋は、高齢者生きがい発揮促進事業の趣旨に元づき、休憩所とされています。今後、メロン栽培に大人数が集まることは見込まれないので、別途の目的利用がなされるでしょう。
 この写真は、温泉施設である「柏ロマン荘」の宿泊棟部分の2F廊下から撮影したものです。遠方に、ショッピングモールの屋上が見えます。
 
このガラス温室の保温は、「柏ロマン荘」(つがる市第三セクター経営、現在は、民間委託)の廃温泉水を利用したもので、グリーンソーラー(加温機)がそれにあたります。パイプで引いて利用されています。
ちなみに、温泉は、地下800mまで掘り下げて、出来た温泉・源泉かけ流しのナトリウムー塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉) 、温度67.6℃)と聞きました。

〇設備について
 栽培槽などの水は、水道水が使われています。安定的水質を保つためとの説明を受けました。地下水や廃温泉水は使用されていません。
 また、照明電気はLEDが採用されていますが、これは電気代を低廉にする目的で採用されていますが、実証試験でメロンの育成にはLEDが向いているとの評価が出ているとのことでした。
 
〇栽培について
 つがる市の目的では、通年で安定した栽培を可能にするため、栽培環境、適正品種、栽培方法等の実証試験を行い、栽培技術を確立する。試験期間は令和2年7月から令和5年3月31日までとし、専門的な知識を有する大学・県・町田式開発事業者で構成するつがる市メロン水耕栽培技術研究会から助言を得て研究を進める。 とされています。
*(追記:𠮷田)町田式開発事業者と言うのが、メロン水耕栽培システムを開発した、「大浩研熱株式会社」(東京都町田市小山ヶ丘)で、現地の指導もされているとのことでした。以下の写真は、「大浩研熱株式会社」の温室を見学した時のものです。


 「大浩研熱株式会社」による、水耕栽培の町田シルクメロンの見学会、商談会(2019.9.20)。メロン菓子を持つ。


水槽内で、放射状に延びたメロンの根。


 当時のインターン生と一緒に試食


 頭上に並ぶ水耕栽培メロン

◆事業経過
  ・1作目(R2.8月~11月)(マスクメロン5株)
収穫数 計98個
目的:マスクメロンの本市における水耕適正試験
 ・2作目(R2.11月~R3.4月)(マスクメロン4株、レノンハート1株)
収穫数 計73個   59個(4株)、  14個(1株)
目的:冬期間の栽培に有効な照明(3種類)試験
 ・3作目(R3.4月~8月)(タカミ4株、レノン1株)
収穫数 計58個   42個(4株)、  16個(1株)
目的:つがる市主力品種(タカミ)で有効な栽培方式(町田式・親弦摘心)試験
・4作目(R3.8月~12月)(マスクメロン2株、ウィッシュ2株、タカミA1株)
収穫数 計53個   24個(2株)、 27個(2株)、 2個(1株)
 目的:①新品種(ウィッシュ、タカミA)の水耕適性試験、②補光照明灯数別試験
 ・5作目(R4.1月~4月)(タカミ5株)
収穫数 計56個  
   目的:①タカミの冬季栽培試験、②肥料濃度別生育影響試験
(注:吉田)現在、次の作付けが行われており、秋に収穫見込み。作付けのタカミと言うのが、高級品種で青肉タイプです。)


 添付写真は、水耕栽培のものとは異なりますが、食べ頃(2022.7.15)のタカミの写真です。味は飛び切りでしょう。

〇出荷について、
 つがる市が行っているメロンの水耕栽培は、農家が水耕栽培を行うためのものであり、現在はあくまで実証試験の栽培であり、販売には極めて慎重に思え間ました。それは、つがる市がメロンの全国第3位の都市であり、市内の農家の将来のために自治体が先駆的に取り組むもので、見た目、味、糖度、収穫数量の完成品を目指しているために、これまでに販売されたものも、次の収穫予定分もいまだ販売予定をされていませんでした。
 現在、ガラス温室のメロンの水耕栽培施設が全面的に拡張された時点で、真の評価が定められると思います。
 その試験販売が好評な結果を得る事、次いで、一般農家への作付けが普及することを願っています。

 取りあえず、つがる市内の観光施設、あるいは、亀ヶ岡石器時代遺跡(田小屋野貝塚を含む)の案内所の販売施設での販売で好評を博することが当面の課題になるのだろうと思いますし、町田シルクメロンとの味比べが起きてほしいと考えるし、水耕栽培メロンの全国品評会の実施、さらには世界一決定戦を遠望しています。

                視察一覧   議会活動   吉田つとむのHP

さらに詳しい吉田つとむの情報は→