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(インターン石田寛和)+吉田つとむ
(03/09/18) 

地方議員のための支持者をふやすホームページの鉄則 町田市議会議員 吉田つとむ)

 以下は、2003年9月1日(月曜日)発行のガバナンス9月号(ぎょうせい 2003 ) 連載 議会改革レポート−変わるか地方議会28
「独自のメディア」で情報発信を−広がる地方議員のHPに、吉田つとむと、その著作が紹介された記事を、インターン生の石田寛和さんがこのコーナーの記事にまとめました。

<記事要約>

●インターネットの波が、地方議員に急速に押し寄せている。インターネットを武器に支持者を増やした議員が、マニュアル書を発行。議員HPを評価するサイトやHP(ホームページ)政策を支援する民間会社も誕生した。インターネットは、地方議員に大きな影響を及ぼすだろう。

○HPで行動の監視を○市民への情報提供にITを活用
「このHPを通じ、私の考えと行動を監視し続けて下さい」東京・町田市議の吉田つとむさんは1997年1月、自身のHPを立ち上げた。
 HPの立ち上げから5年余り。このほど『地方議員のための支持者をふやすホームページの鉄則』(学陽書房)を出版した。HP開設のきっかけは、「ある国会議員のHPを見たときに、もっといろいろなことができるのではないかと思った」。ITは独学である。
 HPのコンテンツは実に豊富だ。吉田さんは、HPを通じ、ネットでの情報公開に積極的に取り組み、「情報公開のエキスパート」を自任する。
情報公開にあたり、まず自身の収入・所得の公開を呼びかける。「議員報酬の中から議員活動を行っていることを理解してもらえば、報酬が高すぎるということが誤解であることに気づくはず」と話す。また、「市民への情報提供が議員にとって最も重要だ」と指摘。
多くの議員と同様に街頭報告や議会報告紙の発行を行ってきた。しかし時間・資金・配布範囲などで限界を痛感。そこで、街頭報告などを残しつつ、ネットを通じた情報収集・情報発信にウエイトをおいてきた。
HPでは、自身がリーダーシップを取るが、「自分が答えられない質問があれば、他の議員を紹介する」と話す。そのためのリンク集の充実にも力を注ぐ。自身のHPが「ターミナル」となることを目指している。
HPでの記述内容が、他人への誹謗中傷にならないように気をつける一方で、「閲覧者から批判を受ける覚悟が必要だ」とも話す。
HP作りの試行錯誤を繰り返す中で、「HP上のルールは作られていくのではないか」という。

○ネットでの情報発信で支持基盤拡大
 吉田さんは、2001年にネット上での情報発信を武器に選挙戦を行うことを宣言。2002年2月の市議選(定数36人)では、前回の29位(2517票)から6位(4248票)という上位当選を果す。「自分の支持基盤を拡大することができた」と自己評価した。
 また、著書のなかで、支持層に代わる「支持相」という言葉を提唱する。「支持相」とは、不特定多数ではなく、政治的関心の高い、顔を持つ人々のことである。ネットを活用し、自分の「支持相」形成の必要性を説く。
 また、今後はITに注力する地方議員のネットワーク化が求められていると指摘する。

○閲覧側の気持ちにたったレイアウト○HPは「自由な表現の場」
 「開け電網政治の時代」という1996年に開設された政治サイトがある。ここでは、議員のHPを、更新度や政策、活動内容、実績などをもとに100点満点で評価しランキングを発表している。
 吉田さんは現在85点で2位。1位は90点の東京都議の清水ひで子さんである。清水さんのHPは、「内容豊富で見やすい」などと高い評価を受ける。2000年のHP開設には大学生のボランティアが手伝った。
 「HPの内容は見る側が選択するもの。議員側が一方的に押しつけてはいけない」と話す。トップページでは、項目が同じ高さで並び、閲覧者の意思によって選びやすいレイアウトである。
 文章は分かりやすさを心がけ、HP上では専門用語を分かりやすい言葉に言い換えている。「HPは自由な表現の場だと思う。日々の生活と政治が密接に関わっていることを知ってもらいたい。そのためにも分かりやすく議会や政治のことを伝えていきたい」と話す。

○地方議員のインターネット戦略を支援
 いわゆる市民派の議員(候補者)は、専門の業者にHPを外注できるほどの政治基盤も資金も乏しいことが多い。「アイランド・ボイス」(犬塚直史社長)は、そんな議員をサポートする。
 同社は、「ネット参謀ポリティクス」を開発。電子メールの送受信や掲示板への書き込み程度の技術で、HPの立ち上げ・更新からメールマガジンなどのHP運営ができるシステムだ。初期設定料1万、月額使用料6400円と格安だ。
 現在80人の地方議員が同社と契約し、70人が実際にHPを立ち上げた。なかには、毎日のように更新する議員もいる。
 同社で犬塚社長と会社を設立した高橋茂(同社取締役)は、「改めてこれまで議員は情報発信のメディアがなかったんだなと思った」という。さらに「普通の市民感覚を持った人が地方議員になって活動すればまちが変わる。まちが変われば、都道府県議、国会議員も変わっていく」
会派に所属しない議員でも「HPで自分の活動を情報発信すれば、市政への大きな影響を与えられる」と指摘する。

○インターネット選挙は解禁するのか
現在約7万人の地方議員がどれほどHPを開設しているのかを示したデーターはない。しかし、急激に増加していることは確かである。
総務省はインターネットの急速な普及を背景に2001年11月「IT時代の選挙運動に関する研究会」(座長=蒲島郁夫・東京大学教授)を設置。2002年8月、9項目の提言を盛り込んだ報告書をまとめた。
報告書では、インターネットによる選挙活動を解禁すべきだと提言する。現在の公職選挙法では、選挙期間中の文書図面の掲示・頒布を限定。候補者や政党はHPの更新や、電子メールを発信することはできない。提言後1年経ったが、公職選挙法改正の動きは鈍い。

●HPを開設する地方議員は増えたが、どれだけ有権者の目に留まっているかは疑問が残る。インターネットは地方議員にとって武器であり、独自のメディアを持つことでもある。
 有権者の視点に立ち、どのように議員活動に役立てていくのかという点で、インターネットにおいても、議員は知恵を競い合う時代を迎えた。

<感想>
 だれを選んでいいのかわからない。選挙日が近づくと多くの有権者は、一度は感じたことがあるだろう。本来、有権者が住む地域で活躍する地方議員は、活動範囲が近い分、身近で密接な関係であるはずだ。しかし実際はどうだろうか。政策や経歴、実績はもちろん、ひどい場合、名前すら認知されていないこともあると思う。町田市を始めとした、首都圏のベッドタウンならなおさらだ。

 これは、有権者自身が政治に関心をもたないといことも大きな問題であることは確かである。だが、地方議員自身がなかなか自己開示を行っていないことにも責任はあるだろう。もっと正確にいうと、本文中で高橋茂氏が指摘するように、自己開示を行うメディアが存在していなかったのだろう。

 現在、民間企業や自治体では大中小と規模は問わずに、何年も前からHPを開設している。ここでの課題は、いかにHPを見やすくするか、HPのバリアフリー化といったものだ。例えば、企業では株主へのIR情報、自治体の重要文書などの情報公開などがこれにあたるだろう。また最近では、一般人の一個人がHPを持つことも珍しくない。

 正直な話、なぜ今頃になって政治家のHP運営が注目されているかということには、少し疑問がある。時期的に遅いのではということだ。もっと早くから注目され、多くの政治家がHPを利用し、自己開示を行うということが活発化していても良かったのではと思う。
 しかし、本文中にあるように、吉田さんを始め少数ではあるが、HPの有効性に早くから気づき、議員活動の一環にしていた人が存在していたことも事実である。

 HPを開設し、それを魅力あるものとしていくことはメリットが多数ある。このことについては、改めて触れずに『地方議員のための支持者をふやすホームページの鉄則』(学陽書房)を参考にしてもらいたい。
 地方議員が魅力あるHP作りに取り組むといった自助努力によって、市民との距離、有権者との距離も縮まる。こうして、市民の政治に関する関心も高まり、どんどんプラスの力へと発展していくだろう。HPで有権者に監視されていると思えば、政治家の緊張感も増すだろうし、議員活動のやりがいも増すだろう。魅力的で、見る側をひきつけてしまうようなHPが増えることを期待したい。

 また公職選挙法の早期改正にも期待したい。よりHPの有効性が高まるからだ。こうしたことの積み重ねで、政治家を志す人も増え、政治家に今以上に魅力的な人が増える。リクルート社の調べで、高校生のなりたくない職業1位の政治家が、やがては汚名返上となるだろう。これは、本来身近であるはずの地方議員の努力にかかっている。明るい未来を作るためにも、できることから始めていくことが大事だと思う。

<吉田つとむの追記>
 自治体関係で、最も知られている雑誌のガバナンス9月号(ぎょうせい 2003 )に、私の活動とこの著作の出版に関する紹介記事が開催された。それは、連載 議会改革レポート−変わるか地方議会28 「独自のメディア」で情報発信を−広がる地方議員のHP のメイン記事として紹介されたもので、実に意義深いことでした。この記事では、自分自身の活動取り組みが本院が書いたより、まとまっていました。さすがに、プロの編集者が書いた記事です。

 その記事では、1ヶ所だけ問題がありました。それは、私のHP開設記事のきっかけとなったことが、「ある国会議員のHPを見たときに、もっといろいろなことができるのではないかと思った」となっていますが、事実は、「大半の国会議員のHPを見たときに、もっといろいろなことができるのではないかと思った」という内容です。口頭の説明であったため、私の話し方が悪かったのだと思います。

 こうした記事が掲載されると、地方議員より、すぐに照会の連絡を受けるようになりました。
 
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