十日町市視察報告(雪・水対策)

自由民主党会派視察報告(吉田つとむ単独視察)

期間:平成17年2月18日から20日
視察先:新潟県十日町市雪・水対策課
視察項目:震災復旧、雪・水対策

 十日町市は、世界一積雪が多い都市といわれている。昨年より、数十年ぶりとなる降雪で3−4メートルの積雪があり、その除雪作業はこの地域にとって住民も自治体も重要な仕事になってきた。
特に、昨年の秋(10月23日に発生した)新潟県中越大地震にも見回れたことによりこの大きな災害と重なり、今期の除雪作業は困難な仕事になっていた。

<概要>
 この地域では、冬場の雪をどのようにして取り除くか、ということが大きな課題になってきました。現在では、都市間や都市部の主要な道路では、建設用の重機を用いた「除雪」を行って、日常交通が維持されている。道路から排出された「雪」がダンプカーを用いて、日本一の河川である信濃川に放出される。この作業は、積雪が多い年の冬場には一冬中おこなわれるという。
 
 雪を取り除く方法としては、他に消雪パイプを用いた「消雪栓」を用いた除雪の方法がある。私が通った都市間の主要道路には、道路の中央(カーブの部分では勾配が高い側)にほとんど備わっていた。地域によっては、生活道路に近いところにも、それが備わったエリアもある。

 十日町の中心部では、多数の個所の道路の両側に「流雪溝」が設置されている。それは、暗渠式の雨水側溝の底部分に、信濃川からポンプでくみ上げた河川水を流水させ、そこにところどころから「除雪した雪」を水と一緒に下流に流し込むものである。市街地の商店街などにおいては、地域住民が人力で雪をかきだし、その「流雪溝」に流し込むという。なお、その作業をいっせいに行うと「流雪溝」が詰まってしまうため、町内会ごとにその排出時間が決められているという。

<所感>
 私が現地を訪ねた直前とその時期以降は、ほぼ毎日のように晴天が続き、十日町駅前の車道面には、まったく積雪がなかった。ある意味では、本来の雪国の形態とは違った様相をしていたと言えよう。

ただし、そこから山沿いの地域に少し踏み入ったり、あるいは日常生活の道路に「消雪栓」もなく、「流雪溝」もない地域で、除雪用の重機が入ってこないエリアでは、やはり雪国の様相を示している。

 また、大きな道路では、車道部分と歩道部分との間にも「雪」の狭い壁が出来ている。これは、ここ数年のことであり、歩道部分まで除雪作業が行われるようになったためという。

 なお、この除雪作業は、この地域において、建設業者にとって、冬場の雇用対策となっているようである。大きな除雪車はその費用対効果の関係で、自治体が保有しており、除雪が必要なときにはそれを建設業者が借り受け、除雪を行っているようだ。多くのダンプカーが、除雪した道路の雪を信濃川の指定場所煮に吐き出していた。
  
 この雪国では、こうした自治体の取り組みのほか、住民自体が自分で除雪・融雪の作業を行うことが基本になっている。そのため、多くの家屋で屋根を急勾配にして、その積雪を防ぐ方法をとっている。ただし、そうした方法を用いても、建物の周辺に積雪する場合はその除雪が必要になる。また、庭や通路はもとより、個人が行うのは常識である。なお、一般の住居では、積雪が目立ってくると、「雪おろし」や「雪堀」を行って、除雪作業を行っている。自分で出来ない人は、その業者さんに依頼することになる。

 今回の震災では、自宅をなくした人の場合は自治体が建設した仮設住宅に入っている。そこでは、自衛隊の部隊が救援に入ったり、ボランティアがはいったりした。収入をなくした人には、あるべき支援の一部であろう。

 現地では、自動車を借りて、自分で運転して他の自治体を巡ってみた。道路の痛み具合はわからないが、聞くところによると、積雪の可能性がなくなった今回の春から、道路の本会区的な復旧がおこなわれるとのことであった。川口町から小千谷市にかけて、今回の震災の被害がもっとも大きな地帯を運転した。中心市街地を除いては、道路の両側は雪の壁が両側に迫っている。そうした道路の運転は、慣れないものにとって、落ち着かないものである。

 この十日町市は、大雪に見舞われた昭和56年において、「克雪都市宣言」を発している。なお、余談だが、「雪国はつらつ条例」の紹介間違いで有名になった、中里村はこの平成の大合併で吸収されることになっている。こうした条例が、他の自治体に受け継がれることを期待した。

 なお、十日町市が行っている「水」の対策については、今回の取材対象からはずしており、記事にも省かせた記載とした。

 今回の視察では、この大雪の被害の中、雪・水対策課の担当者の方に大いにお世話になったことを記したい。
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