新潟県十日町市視察(クロス10)

平成17年2月18日から20日

● 調査項目 地域産業振興施設と施策策

タイトル:(財)十日町地域地場産業振興センター(クロス10)

 この建物は公共的なものであり、「十日町地域地場産業振興センター(クロス10)」の事業では、十日町市だけでなく国や県の支援をも受けているのが特徴です。隣接した「十日町ステージ 越後妻有交流館(キナーレ)」は、やはり産業振興の役割を担っていますが、こちらは「十日町地域広域行政圏」の施設であり、合併も考慮すると大十日町市の施設と考えて良いでしょう。

 どちらの施設も自前の収入ではとてもその運営をまかなうことはできず、かなりの公費負担を伴っています。早晩、この財政負担は地方の自治体経営に取って、大きな負担感を伴ったものになる可能性が起きています。

 その圧迫(感)をいかに減少するか、新規の誘致客をどのように呼び込むか、それぞれに重要な課題となっています。ただし、十日町地域地場産業振興センター(クロス10)のそれ以上に重要な役割は、地元の産業と観光をいかに興してゆくか、存続の意欲を形成することができるか、そのことに対しての回答を出してゆくことだろうと考えました。

<施設内の売店について>
 この公共施設は、名称通りに十日町市の地場産業の振興のためにあるものです。特産が「着物」ということがあって、ここは十日町産の着物の即売などを主要な業務の一つになっています。ちなみに、十日町市は京都市・金沢市に続いて、全国で3番目に着物の生産を行っているところだとのことでした。ただし、即売センターでの物販の主要な対象は、やはり「食べ物」であることは全国どこでも共通です。観光客をどの程度に引き込めるか、それはどの地域の施設でも問われることです。

 ただし、おみやげの食べ物と数万円の着物類が同じフロアーにあって良いものか、特に気になりました。隣接して十日町ステージ 越後妻有交流館=「キレーナ」がありました。「きもの博物館」をはじめとする施設が入っており、そこには機織りの体験学習も行う施設もありますので、少なくとも今の場所より、好条件ではないでしょうか。そこには、和装工芸館とした名称の個別店舗が数軒入居していました。個別に出展サイドで利益を出してくれればよいのでしょうが、規模的にとても困難ではないかと思いました。
ただし、いずれにしても、現在の観光は旅の途中で、ついでに数万円以上の買い物をするような時代ではないとの認識を持っています。食べ物と同じフロアーの陳列では、千円内外の小物に限定されるものと思います。

 雪国であるために、漬け物類が豊富です。ところが、現実には長野県の野沢菜などにその特産品の顧客を奪われているのが実状です。地元産として地域の食べ物として有り続けることも大切ですが、都会の生活でなじみやすい形態に変えていくのも必要なことではないでしょうか。参考になるかどうかわかりませんが、私は福岡市の出身であり、次のことを教訓にしています。今から三十数年前頃までは、福岡県内でも「塩付のたらこ」を食べていました。それがいつのまにか、「博多の辛子明太子」は日本全国に通用することになりました。今では、子どもも大人も大好きな「漬け物商品」となっています。

<その他の施設>
 キレーナでは「銭湯」が重要な収入源となっており、それがここの経営基盤の一つとなっています。これは地元住民がお客となっています。

 先に書いた、「きもの博物館」はとてもレベルが高い存在です。着物の産地ツアーでは是非コースに入れてもらいたい内容のものでした。

<交通手段>
 いまは、六日町と犀潟とを結ぶ「ほくほく線」が開通し、上越新幹線の越後湯沢駅からの乗り換えがずいぶんと便利になっています。営業的にも黒字線ですので、十日町の魅力を打ち出せば、もっともっと関東圏からの誘致をはかれると考えます。

 まだ、自動車道では高速道との連携がとられることになっており、ともかく関東方面かの観光客を受け入れる条件をそろっているでしょう。

<キーワードの雪>
 この十日町市の雪祭りは、札幌の雪祭りの前年に始まったとのことで、その規模は札幌にひけをとらないものであるようです。今年は震災で自粛した行事内容であったとのことですが、従来通りに取り組むべきだとする意見もあり、今年の集客の現象が翌年にも影響すると考えるのが通常の判断です。既に、この時期には旅行代理店には、今年の旅行計画の説明が終わっているようです。来年の集客にもマイナス方向に影響が出るでしょう。

 それを乗り越えるため、現実には、(札幌の雪祭りに自衛隊の大量動員がなくなることを踏まえ、)十日町市雪祭りが名実共に日本一に成ることをアッピールするのが、当面の目標とされるのではないでしょうか。十日町市の雪祭りにはそれだけの魅力が備わっていると考えます。日本への旅行客が多くなった極東諸国(東アジア圏)の入国者には、この豊富な雪がなによりの観光資源と考えます。そうした人々が2−3日の観光滞在するには、十分な資源が備わっていると考えます。
 
<FM放送局の開設構想>
 ところで、十日町市は新しい展開を試みようとしており、FM放送を導入する計画があるようです。この十日町市の地形は盆地場の土地となっており、中央部から発信すると、市内の大半で受信可能なメディア媒体になっていくでしょう。広域に広げる場合は、インターネットHPと連動させれば、全国への「音」(一部映像を含む)の情報発信も可能です。

 そのFM放送を使って、まずは観光情報の案内、キレーナの事業案内、なにより、経済人の交流事業のよる新商品の開発事業のバックアップが、その事業の基本になるのではないでしょうか。もちろん、FMといえば音楽も欠かせません。
参考:FMなは(http://www.fmnaha.jp/)

 最後に、HPについて一言
 リンク集をつけて下さい。訪問者にその先にあるものを示していただきたいと思います。たとえば、十日町市、新潟県、観光協会などなど。

(財)十日町地域地場産業振興センター(クロス10)
http://www.tiara.or.jp/~cross10/

<追記>
 実は、この記事を書いた翌日には、リンク集が作成されていました。

 (財)十日町地域地場産業振興センター(クロス10)の関係者の方のすばやいレスポンスの驚いているところです。しかも、リンク先に紹介コメントも付されており、この点は吉田つとむ方式です。取り急ぎ、このすばやい取り組みに、対応してコメントを付しました。

(財)十日町地域地場産業振興センター(クロス10) http://www.tiara.or.jp/~cross10/

岩船眞人氏(当時、理事)には、施設の説明や将来の構想で大変お世話になりました。
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