電子投票の三重県四日市市の市長・市議補欠選挙視察(1)

1. 期   日  平成16年11月27日(土)〜11月29日(月)

2. 視 察 先  1. 三重県四日市市

3. 参加者氏名
   吉田 つとむ((自由民主党会派視察・単独)→下段の段落記事参照

 下記は、市議会提出の公式報告書をもとに、本文部分をネット化したもの。

自由民主党会派視察1:電子投票の三重県四日市市の市長・市議会議員補欠選挙
平成17年3月31日作成(最後の段落の注を参照)
記載者 吉田 つとむ

三重県四日市市長選挙・電子投票選挙の視察記事

<前書き>

 平成16年11月28日投票の三重県四日市市の市長選挙は、電子投票方式による選挙が実施された。この選挙では、三重県四日市市長・市議議会議員補欠選挙が同時に実施され、有権者数は約23万人、投票所は56ヶ所で過去最高の規模となっていた。

 人口30万人以上の自治体選挙では、初めて実施された電子投票選挙であったため、東京都・政令都市や大きな自治体関係者がは多数詰め掛ける状況であった。その関係者のまなざしは、特にその準備状況、投票の初期段階、開票作業のスムーズさ、その記録の発表タイミングなどに注目が集まった。

 結果は、成功と判定されるものであった。

<四日市市で電子投票>

 平成16年11月28日、三重県四日市市で電子投票方式による選挙が実施された。この選挙では、三重県四日市市長・市議議会議員補欠選挙が同時に実施され、有権者数は約23万人、投票所は56ヶ所で過去最高の規模と言うのが特徴であった。

 すでに期日前投票が行われており、本日の午後8時に打ち切りとなります。この期日前投票(従前の不在者投票を変えたもの)が出来る場所が、従来は市役所内のみであったものが、今回から中心部からは離れたところでもう1ヶ所、期日前投票が行われており、今日の日程でその場所まで見学にいくことにした。

<投票所の設置準備視察>

 翌日の投票に備えて、各投票所ではその投票受付準備が進められていた。実際には、(状況説明が行われるので)見学が出来る場所は制限されており、浜田小学校の設営を見学した。

 この投票区は有権者が5千人規模であり、市内で最大の選挙区のようであった。電子投票機が9台設置されていた。設置中に、音声対応のヘッドホンを耳に当てている人がいたので、9台のうちの1台は目が不自由な人に対する音声対応機能をつけたタイプになっているようであった。今まで見てきた過去のどの電子投票選挙においても、通常この音声対応機能タイプのものが置いてあった。

 また、選挙人名簿をチェックするのは、2列で行われる体勢がとられていた。それらの手続きをして、次の投票カードをもらって、それを電子投票機に入れて、投票をすることになった。

 今回は、市長選挙・市議会議員補欠選挙と2回の投票を連続して行い、同じ投票機で投票することになっていた。

 この2回の投票というのは、日本で最初に電子投票が行われた岡山県新見市の選挙において、市長選挙と市議会議員選挙が最初のものであった。(注:ただし、四日市市の選挙では、市議会議員選挙は、補欠選挙であった)

 なお、この四日市市の(電子投票選挙の)投票所設置の視察には、東京都の選挙管理委員会の2人も見かけた。(注:そのほかに、一部の視察日程で、東京都選挙管理委員の視察も行われていたと、後日、聞く)さらに、福島県いわき市職員の人たちとは、一時同じ見学ルートを取った。


<期日前投票が終了>

 市役所本庁と健康増進センター(ヘルスプラザ)で実施された、期日前投票が終了しました時点を視察した。

 視察団への開放は、健康増進センター(ヘルスプラザ)が提供されていたが、この場所は四日市コンビナートのそばであり、さらに初めて期日前投票が行われたこともあって、(市役所本庁の期日前投票者にくらべ)実際の投票者はかなり少ない人数であったようであった。

 せっかくの視察と考え、その投票受付締め切りまで見ていた。今回では、投票記録のコンパクトフラッシュが1枚ごとにプラケースに入れられず、多くのポケットがついた透明袋に入れ、さらにそれを透明の袋に入れて封印していました。

 最後は、その透明袋は、投票カードの発券機の機械を収めたケースに一緒に入れ、鍵をかけていました。

 いつ、その方式に変えたのか、ごく最近のことであろう。封印作業の簡素化を図る措置と判断した。

<電子投票取材はこの時間>

 四日市市の市長・市議補選があり、その選挙が電子投票方式で実施されるところを視察した。それぞれの候補者とその支援母体にとっては運命を決するときであり、電子投票にとっても、他の自治体で大きな失敗や問題が発生し、その結果が期待されるところであった。その理由は、今回の電子投票選挙のシステムを納入したのが、電子投票選挙では最も実績がある、「電子投票普及協業組合=EVS」があったためであった。

 宿泊先から近くの投票所である浜田小学校を視察した。

<視察者のカメラにクレーム>

 その日は、3つの投票所が視察対象先に指定されていた。せっかく機会と考え、その3ヶ所全部と、その他では、投票所の外から投票所の状況を見学した。

 指定視察先
中央第四投票所(四日市市立浜田小学校体育館)
中央第三投票所(旧納屋小学校体育館)
羽津第二投票所(四日市市立羽津北小学校体育館)

 最初の投票所である浜田小学校では、見学者が30人以上になった。投票事務が開始される午前7時前には、一人の有権者が投票所に到着し、その受付を待つことになった。

 最初の入場者に、投票箱の「カラ」状態を確認する作業に相当する、「ゼロ票」確認を行ってもらう。これをするのは投票立会人でないのが特徴である。(これは、決まって行われることである)

 その後、数人の人たちが入ってきたところまでを、視察者はカメラを通じてみていたが、投票カードを返却した有権者から、視察者の対応に関するクレームが出た。それは、有権者が投票を終えて、投票カードを返す時点で、視察コーナーの前を通ることになり、カメラ目線が真正面になり、それが嫌われたことにより、プライバシーの保護の観点から、好ましい状態ではなかったことはマチガイないことであった。視察者のカメラの撮り方に、大いに反省をさせる場面であった。

 もっとも、その投票所が視察者には指定されていたが、どのように取材してもOKというわけにはいかないのは、常識中の常識のことであった。

 その後、TVカメラも数社入ってきた頃には、大多数の視察者は引き上げていた。視察受け入れ担当者から視察者に注意もあり、それも他の視察対象投票所においても、共通して注意が喚起された。

 その間、電子投票自体は順調に進んでいた。

<選挙の投票と少年の社会見学>

 選挙の投票が始まると毎回見かけることですが、最初の時間帯は比較的に高齢者の投票が多く、午前9時を過ぎた頃には主婦の人たちも増えてきます。

 一人で選挙に来る人、夫婦でやってくる人たち、親子でやってくる人たち、それも高齢者の人を介助して選挙にやってくる人たちと投票所に足を運ぶ人は様々であり、自分の選挙区でないのに、そうした人々に頭が下がる思いがした。

 それらの中で、小さなお子さんを一緒に連れてやってこられる父母も大勢見かけるところであった。今回の選挙で次のようなことがあった。中学生が親についてきていたが、選挙の受付のところで入場を断られた。投票の秘密性からすると当然のことであるが、「電子投票」というものを社会勉強として見に来たようであった。私は、「こっちで見学できるよ」と呼び込みに行ったが、どうも「選挙」がいささか嫌われえたようであった。どうも、中学生のデリケートな心に不快感を残してしまった感がした。

 こんなことで、子どもらが選挙を嫌いにならなければ良いのだが、今も気になっている。

<注:作成日を間違えて、平成16年3月31日作成としていましたが、ご指摘により、平成17年3月31日作成と訂正させていただきました。処理日は平成17年4月12日>
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