企画総務常任委員会行政視察(富山市)パブリックコメント
平成18年4月24日(月)〜平成18年4月26日(水)

委員会の視察報告:富山市
企画総務常任委員会視察報告書
作成 吉田つとむ 平成18年5月3日
視察概要 富山市(平成18年4月26日)
・広報・公聴について
  指定管理者導入に関する指針におけるパブリックコメントについて
・人事管理について
  職員の人材育成について

  *富山国際会議場を現地に視察

<概要>

◎ 富山市発展の経過
時期 内容
明治22年 市制施行
平成元年 市政100周年記念
平成8年 中核市移行
平成17年4月1日 7市町村による新設合併

◎ 人口・所帯(平成18年3月末現在)
人口 (住民基本台帳人口)417,247人
  男 202,290人 女 214,957人
(外国人登録人口)  5,065人
所帯数 (住民基本台帳人口)152,994所帯
(外国人登録人口)  3,139所帯
面積 1,241.85 km2

◎ 新設合併の富山市に参加した自治体
富山市・大沢野町・大山町・八尾町・婦中町・山田村・細入村(1市・4町・2村)

<パブリックコメント関係>
◎ 富山市のパブリックコメント趣旨 (引用)
 実効性のある地方分権を推進していくためには、市民と行政が共に考え共に行動する、協働によるまちづくりを進めていくことが重要になります。
 このため、これまでも市政運営の意思決定の過程の中で、必要に応じて市の基本的な計画や、重要な施策の(案)を公表し、市民の皆さんのご意見を取り入れてきました。
 今後さらにこのパブリックコメント制度の導入により、行政の「説明責任」を果たすとともに、市民の市政参画を促進し、より公正で透明な開かれた市政の推進を図りたいと考えております。

◎ パブリックコメントの実施経過
 21件で、このパブリックコメントが実施されたが、関心の違いで寄せられるその件数も違ったという。あるものでは、0件のものもあれば、男女平等関係の関係では100件以上も寄せられたという。市が策定する条例などの素案段階で、そのパブリックコメント求める作業が実施されている。なお、重要なものでは、別途に説明会も行っているとのことであった。
 意見の送付では、電子メール、郵便、ファックシミリ、実施機関の事務所への持参、その他案件に応じた方法で受け付けられることになっている。

◎ 富山市の公共施設の指定管理者制度導入に関する指針に関して、採用
 意見募集期間 平成17年5月10日かた6月9日
 意見数    8件
 上記の素案を示し、意見を募集した。内容によって市が整理し、それに対する市の考え方を公表している。(現在も、HPで確認出来る)
 http://www7.city.toyama.toyama.jp/policy/public/kaihatsu.html

<職員の人材育成について>
 平成17年10月1日に、職員研修の体勢を旧来の研修係の所管から、新設の職員研修所に移管した。
  
* 富山国際会議場の内容
http://www.ticc.co.jp/contents4.html
メインホール
975 - 825 - 固定席・メモ台付、ステージ(間口17m・奥行き7m)、6ヶ国語同時通訳設備、大型映像設備
3Fホワイエ
560 - - 300 展示対応、バーカウンター、クローク、天井高さ7.7m
多目的会議室
500 300 450 350 展示対応、4分割可能、天井高さ4m
床耐荷重(1平方メートルあたり)550kg
分割使用 201
125 72 104 80
202
125 72 104 80
203
125 72 104 80
204
125 72 104 80
2Fホワイエ
240 - - - 展示対応、天井高さ3m
特別会議室
130 - - -  
会議室
205 60 24 36 -  
206 50 18 30 -
交流ギャラリー
- - - - 展示対応、天井高さ2.9〜8.5m
駐車場 125台

<所感>
<指定管理者導入に関する指針におけるパブリックコメントについて>
 富山市のHPには、市民からの意見が整理をされ、市の意見を付したものが掲載されており、行政の広報・広聴のスタンスが分かる。
 このパブリックコメントのHP資料を見ると、3件のもので市民意見と市の意見が掲載されており、パブリックコメントが実施された際、意見が0であったこともあるとのことであったが、他の例では掲載がないのはそのためであろう。
 このパブリックコメント募集にあたって、途中経過をどのように発表するかの質問を失念したが、おそらく、募集発表後の途中経過発表はないものであろう。もし、その募集意見が0である事態が発表されておれば、収集意見数ももっと増えてくるのでは無かろうか。
 ただし、意見内容も伴って発表すると、行政による意見誘導になりかねない懸念がするのである。
 また、市民から意見を募集し、それへの市の意見を掲載するが、「パブリックコメント」の目的自身をどこにおくか、検討課題だと考える。当初より、市の説明で了解されるとなると、当初に「素案」発表する意味がない感じも否定できないのである。
 とは言え、これからの行政にとって、開かれた政治姿勢は必須項目であり、このパブリックコメントの拡大はより確実なものになっていくのであろう。その際、議会と議員の役割はどのように変化するか、今から注目しておきたい。
 なお、「指定管理者導入に関する指針におけるパブリックコメント」であったので、個別公共施設における指定管理者導入の是非やその対象者に対する意見があれば、その活用意義がより増大しよう。

<職員の人材育成について>
 この職員研修所が開設された意義は、平成17年4月1日に7市町村による新設合併によって、新しい富山市がスタートしたのが大きな要因と思われる。
市町村という基礎自治体の違いを乗り越えて、合併して新しい自治体が出来、従来と違った規模の大きな自治体が出来たこと、従来とは全く違った部署に職員が配置される可能性があることが、この研修所設置の目的と解される。
 町田市ではそのような時流にはないが、富山市は町田市が目標とすべき「中核市」の先輩であること、あるいは、町田市が現業部分を廃止や縮小した場合に、この専任の研修所設置の意義があるのではないか、と考える。なぜなら、職員によっては、自分の直接経験が及ばないような部門への移籍をも起きうるわけであり、それをどのようにスムーズに移行させるか、責任者にも一般職員にも欠かせない研修が必要とされるであろう。
 なお、予算概要を見ると、多数の特別会計項目が見られるが、おそらく、それは合併前の旧自治体事業を引き継いだものと思えるが、これらがこれからも旧自治体の中でのみ続けていくものか、それとも整理統合されるものか、それによっても人材配置、育成の方向が変わってくると思われるが、その集約一本化の目標がこの職員研修所設置には託されているものと推測する。
 * 合併と市域
 今回の市町村合併で、富山市の面積が一挙に1,241.85 km2  となっており、その南部は岐阜県境に達している。市行政のカバー領域がどのように変遷するか興味深い。さらに、今回の合併における市議会議員選挙では、旧自治体に分離して中選挙区選挙のもとで行われたが、一本の選挙区ではどのような選挙状況となるだろうか。

* 富山国際会議場について
 表にあるように、豪華な会議場。そのことによっても、隣接した「全日空ホテル」と一体のものとして理解される。第1種市街地再開発事業の認定があり、整備主体には、富山大手町コンベンション(株)と富山市の他、富山県と上記の全日空ホテルが入っている。それなくして、存在しなかったのではないだろうか。
 現場担当者の方の熱心な説明には感服した。「ホワイエ」や「多目的会議室」の利用に関して、自主的な検討を重ねて、貸し出しの拡大を計っておられた。
 富山市には、これ以外に「芸術文化ホール」がある。
 現状の町田市は、このような施設を中心部に設置導入することは不可能であろう。なぜなら、町田市が単独でこの種の市民文化の向上を図る施設建設に余力はなく、東京都や地元に関連がある企業に、そうした意図が一切見られないからである。
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