政務調査費の額と議員の言い分

 ◎ 町田市の政務調査費は低すぎる

 2001年4月より、地方自治法改正にもとずく、政務調査費の支出を法律で裏付ける制度が施行した。その結果、町田市でも、2001年3月議会で、議会会派の調査研究費の支出を条例制定することになった。なお、内容は議員の職務に関するものであるが、「お手盛り」の可能性を排除するため、その条例案は、議員提出とせず、市長提案として提案された。(全国的に採用された手法)
 その条例では、2001年4月から、政務調査費が議員一人当たり月額6万円(年額72万円)支給されることになった。従来は、調査研究費と言う名称で、同様に月額5万5千円(年額66万円)が支給さていたので、実質月額5千円(年額6万円)が増額支給となったものである。議開会派、及びその構成員として、その増額に応えるべき成果を生み出さねばならないと考えている。

 一方で、私は、町田市の政務調査費は低すぎると考えてきた。以前、町田市の調査研究費を他市と比較したが、同等都市では最低のクラスであった。そのために、「議会改革特別委員会の協議事項」として、当初より調査研究費の問題検討を提起していた。ただし、委員会では定数問題の議論が先行し、その審議は随分と先送りされてきた。その後、上記のように、地方自治法改正があり、その法律にもとづく条例制定が必要となったため、早期の検討が必要と問題提起し、ようやく検討が開始されたのである。

 なぜ議員の調査活動に、公費負担が必要であるかを述べたものとしては、 「地方自治法改正案の成立を祝す」(平成12年5月作成)に書き込んでいるので、そちらを参照してもらいたい。見解の主題は、議員の調査活動を高め、行政に対する提言活動を進める効用があると言うものである。

 2001年の3月議会までの議会改革特別委員会記録が作成印刷されたので、この政務調査費の該当部分を、記録に残すことにした。その委員会の審議では、「都京23区までとは言わないが、月額10万円(年額20万円)は必須だ」と主張した。会派意見を代表する立ち場で発言したが、他(会派)の発言者とは、まるでかけ離れた金額を提示したかに見えた。金額要望を具体的に理由を示して提起したのは、私だけ(自民党案として提起)だと思うが、その評価に関しては、閲覧者が、関係部分の引用記事で確認していただきたい。私は、現状の金額に増加を求める方法で無く、議員の調査活動費の支出理由を述べて、月額10万円の金額提示をした。

◎ 見出し
    1 最初の問題提起
    2 吉田の言い分 1(委員会発言)
        (資料編参照ー委員会における、吉田の発言記録)
    3 本会議における最終発言(現状維持の修正案に質疑)
    4 政務調査費は、年額72万円に決定

1 最初の問題提起
 
 最初の問題提起は、議会改革特別委員会の審議事項を、委員が文書提出したことによる。検討課題を提出した委員は少なかったが、私はせっかくの機会と考え、いくつもの問題提起をした。その中の一つとして、調査研究費の支出項目を検討課題に入れていた。
 長い間、審議の時間に入らなかったが、先にあげたように、国で政務調査費の支出を法律で裏付けることになった。

2 吉田の言い分 1(委員会発言)
    (資料編参照ー委員会における、吉田の発言記録)

 携帯電話、インターネット関係の支出が認められていない、地方への視察などで、タクシーを使わざるを得ないコースでも、列車の基本料金しか請求できない。などの問題が多い。私は、会議でこれらの問題点を広範囲に指摘した。(この指摘は、2001年度からの支出項目の改善につながった)

 主要な発言は、政務調査費の額については、人口に対する議員の比率に応じて、その費用が算出されるのが合理的と主張した。町田市の考え方は、「近隣の都市と差が出るのは好ましくない」とするものであるが、人口が5万・10万人の都市と比べるべきでないと言う考えである。比べるのであれば、人口30万・40万人の都市と比べるべきだと主張した。そのためには、把握する行政資料として、人口が同等の都市の例を集めることが必要ではないかと提言した。
 私は、自民党の見解として、月額10万円(年額120万円)を提示したが、結果的にこの数字は、他の会派の案に比べて、大幅引き上げと映った。大半の会派は小額の引き上げを提示した。最も少ないのは、共産党は現状維持の月額5万5千円(年額60万円)と主張した。
 具体的な支出とするべき金額の詳細については、別途、資料編に詳細を記す(予定、2001年5月現在)。そちらをご覧下さい。

 最終的には、お手盛り批判を避ける意味もあり、行政側が提案することになった。その案は、上記のように、2001年4月から、政務調査費が議員一人当たり月額6万円(年額72万円)支給するものだった。委員会で、最終的には、行政案に賛成するか反対するかの立場となり、行政案に賛成した。その案は、町田市の同等市と比較したものと異なり、近隣市を意識したものであったので、私としては、大いに不満をもった内容であった。

 3 本会議における最終発言(現状維持の修正案に質疑)

 本会議では、先の行政案を委員会で賛成多数とし、それを委員長が報告した。本会議には、共産党より、政務調査費の額を現状維持とする修正案が提案された。私は、その政務調査費を現状維持とする案に反対する意味で、修正案の提案者(共産党)に質疑をした。
 現行の調査研究費の会計で、共産党の場合には、「個人負担はどのようになっているか、その額を示してもらいたい」と尋ねた。答弁者に、その準備も内容も把握されていないようで、回答は不明確なものであった。私は、自民党のケースを説明して回答を求めたもので、「共産党も議員の自己負担が多い」と、論証することを意図したものだった。相手が答弁の準備もしていない、と言う状況把握をまったくしていなかった。自分のみが資料調査をして、この本会議に備えたが、先のように、「相手も十分に答弁準備をしてくるだろう」と考えた、私の判断にも問題があった。
 後から考えると、実は、修正案に反対討論をするべきであった。
 この審議の最後の段階で、老獪な古宮議員が、この修正案に反対討論した。町田市の議員の待遇は、他の自治体に比べて余りにも低すぎる、と言うものであった。最高齢議員に、うまいところをさらわれてしまった。「とんびに油げ」の思いが残った。

 今回の反省点は、「何もかにも発言すればよいとは限らない」と言うことである。
 「状況を見て、必要なものだけを示す」と言う見地も必要である。

4 政務調査費は、年額72万円に決定
 
 町田市の政務調査費は、月額6万円(年額72万円)に決定した。
 以前より、調査費については、領収書(原本)の提出を義務付け、内容は全部、情報公開請求で閲覧、コピーをすることも実施している。このことは、新しく条例を制定しても、変わることはない。おそらく、全国の自治体の中で、最も公開制度が定着している議会だと考える。
 
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