選挙開票立会人報酬と、新聞の公正な報道について

 8月12日(日)の毎日新聞記事報道について
                                       町田市議会議員 
                                        吉田 つとむ
<最下段の参考記事を参照して下さい>

● 選挙開票立会人報酬に関する、毎日新聞のセンセーショナルな報道

 去る、7月29日に行われた参議院選挙の際の、開票立会人報酬記事が目を引きました。その見出しは、「1票の価値も不平等ながら・・・ 立会人報酬5倍の格差」としています。参議院選・都内の53選管のうち、16市が「2日分」を支払っていたと言うニュースです。開票の時間が、午前0時を廻ったために、2日分の報酬を支払った自治体があった、と言う次第です。国が報酬基準を定めているため、結果的に最低の自治体と最高の自治体では、5倍の格差がでたものです。立会人報酬について、最高の立川市は3万8000円、最低の江戸川区は7000円と言う次第です。
 (ちなみに、町田市の場合は2日間にまたがっても、T日分の報酬支払いとしています。町田市の条例では、報酬の支払いをT日単位にしていますが、この連続した選挙開票作業を2日分と勘定せずに、T日の勘定をとしているためです。その報酬額は、町田市は1万5800円(税込み)となっています。)
 私がここで取り上げようと言う問題は、別個にあります。
 それは、毎日新聞の記事が、開票所要時間の記事をあまりにセンセーショナルな書き方をしていることです。
 開票立会人の作業はどうなるか、町田市の場合を例にして書いてみました。こういうものは、実際の当事者の意見や説明を記すのが、当然と思うのですが、なぜか実質的な当事者の意見を付していないのです。その理由は、毎日新聞が、選挙の立会人当事者の意見取材をする必要なしと判断したためと思います。政治関係者を悪人に仕立てようと言う魂胆が見えています。


● 町田市の参議院選挙の場合はどうか

 開票立会人は、開票所である町田市総合体育館に、午後7時30分までに集合します。選管事務局より、投票の進行状況と、投票箱の搬入、開票の手順の説明などがあります。開票立会人として、やらなければいけないこと、やってはいけないことの確認も必要です。
 午後8時を過ぎると、市内全域の各投票所より投票箱がそれぞれ搬入され、それぞれにチェックを受けながら、全部の到着を待ちます。開票所から遠いところ、途票締め切りに時間間際に投票者が殺到したところなどは、当然投票箱の到着が遅れます。これらの作業について、開票立会人も同時に立ち会います。
 全部そろって、いよいよ開票です。いくつもの開票台を用意し、異なった地域の投票箱を混ぜ合わせて開票します。参議院選挙の開票は、午前0時40分、比例区は午前3時40分に終了となりました。その確定行為として、投票立会人は「開票録」に確認のサインをします。全員のサインがそろって、OKとなります。
 それで、開票立会人の仕事は終わりでなく、その投票用紙はダンボール箱に詰めこまれ、それに封印の印鑑を押す行為を持って、仕事が終わります。その間は、30分から1時間はかかります。そうして、そのダンボールは、次の選挙までそのまま保管されると言います。無効の裁判などもある可能性があるからでしょう。
 それが終わって、開票立会人は帰途につくことができます。その間は、食事をとることもなく、ひたすら自席で、あるいは開票台や計数機械の周りなどをみてまわります。もっと、最大の仕事は疑問票の点検作業です。不明な字や、余分な書き込みに目を通します。
 町田市の場合、開票立会人の報酬は、T日1万5800円ですが、選挙の開票においては作業が翌日にまたがっても、T日分の扱いとなっています。
(選管からの聞き取り作業と、自分の2度の体験をもとに書いた)


● 衆議院選挙の開票立会いをした私の体験

 昨年の衆議院選挙などで、私は開票立会人になりました。集合時間は今回の参議院選と同様で、開票時間は選挙区が午前1時29分、比例区が午前1時49分でした。ちなみに、最高裁の裁判官の国民審査は、午前2時22分の確定でした。
 それぞれの開票確定の後に、上記と同様な投票用紙の封印があり、立会人の確認として割り印をします。再度、選管に確認作業をしたのですが、その時間については、集計していないとのことです。
 こうした、新聞社のような記事が書かれるのですから、もっときちんとした記録を残す必要があります。集合した時間、解散した時間、及びその間の仕事状況について、自分たちが発言していかねばならないと思いました。
<参考記事>
衆議院選挙開票立会人(比例代表・自由民主党)記録 (H12/06)

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