2013.9.3-2 野村 南 第7回インターンレポート
            町田市議会議員 吉田つとむ 研修生

第7回:インターンシップ6日目> 
         第32期研修生 野村 南 昭和女子大学2年生

≪本日の研修内容と感想≫

 鍼灸医学系を中心に点字・録音図書を出版している、社会福祉法人桜雲会の見学をさせて頂きました。そこで、桜雲会の理事長である医学博士の高橋昌巳さんと、点字情報部長である甲賀金夫さん、電子情報部課長である三宅隆さんに桜雲会についてお話を聞かせて頂きました。桜雲会の名刺には点字が打ってあることが印象的でした。全盲の偉人に、塙保己一、杉山和一があると話されていたのですが、私はどちらも知らなくて、恥ずかしいことだと思いました。

 桜雲会では、視覚障害者が90%を占めて働いているそうで、こんなにも活動的な障害者の方々を見ると、普段は他人事のようにかわいそうだなと無神経に思っていましたが、そんな気は起こることがありませんでした。

 それから点字本が出版されるまでを見学させて頂きました。点字の本はまず、パソコンに文字を点字にしたものを打ち込むことから始まるそうです。それからペアになり校正が始まります。その点字をプリントに打ち出し、一人が点字を読み、一人が本と照らし合わせて、間違いがないか、レイアウトはどうなっているかなどの校正をするそうです。これはペアを替えて入念に2回行われるそうです。大体、9時から仕事が始まり、12時でお昼休み、12時45分から午後が始まり、15時で15分休憩、15時15分から17時くらいまでが桜雲会の基本だそうで、その中で1日130~150ページもの校正が行われるそうです。これは文庫本の3分の2にあたるそうです。

 そこから校正し、間違いなどを修正したデータをパソコンに送り、 原版(亜鉛板)を作ります。自動製版機というのものを利用するそうです。すごく早く原版に点字を打ち出す機械なので、間違いがあるのではないかとヒヤヒヤしてしまいました。そして、現に間違いもあるそうで、ちゃんと校正をするそうです。

 その原板を使い、紙に点字を打ち出す作業が始まります。印刷では原版に専用の点字用紙を挟み一枚一枚ローラーを通すのです。実際にやらせてもらいましたが、ローラーはとても速く回転していて、一気に点字を打ち出すものでした。一枚一枚この作業を繰り返すとなると、かなりの時間が必要になるなと感じました。

 そして製本され、点字図書が出来上がるそうです。

 また、録音図書のフレーズ分けという作業も少し見せて頂きました。録音図書にはカセットテープ図書というのと、デイジー図書というものがあるそうです。文字の本を人に読んでもらって、そこからパソコンにフレーズ分け、セクション分けなどをして、90分2本のテープを作ろうとしたら約2ヶ月もかかってしまうそうです。

 私は今回、障害者が点字本を作っているという初めての場所に見学に行かせて頂きました。吉田さんも重要視していることですが、最近は点字ブロックが無視されてきているという現状があります。実際に甲賀さんも、点字ブロックの上に自転車が停めてあり、怪我をしそうになったこともあるそうです。もっと広く一般に点字ブロックの重要性を再確認してもらいたいなと感じました。知らないことばかりで、沢山のことを学ばせて頂きました。

                                  第32期研修生 野村 南 昭和女子大学2年生   
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                   記:町田市議会議員 吉田つとむ 志政クラブ 
2013.9.6コメント

 9月3日のインターン研修生の日程は、二人のインターン生が同一行動です。この記事を読んでいただく際は、池場 早貴さんのレポート(2013.9.3-2)も合わせて読んでください。両者の記述の相違、あるいは感性の違いも見ていただくのも意義あることだと思っています。

 今回は、私も初めて見るところに行きました。社会福祉法人桜雲会と言う団体で、鍼灸医学系を中心に点字・録音図書を出版しているとのことでした。もちろん、縁があったのは自治体の点字広報等を作成されていることによるものです。

 ここを訪れて得た主要な情報は、まず第1に点字印刷のプロセスを直に見せていただいたことで、私とインターン生の両方とも初めての見聞でした。次いで、点字本の校正作業を見せていただいたのも新鮮でした。磁気媒体にデジタル録音する国際規格に基づいたデイジー図書の知識を得たことや、ユニークな点字絵本の作成努力に言葉が詰まりました。

 もっと重要なことは、晴眼者と同じような感じで視力障害の人たちが大勢働いておられる姿に感動しました。なぜ、もっと早い時期に訪れる機会を持たなかったのだろうと反省の念が起きました。

 また、自分が鍼管の発明者である「杉山和一」のことを知らなかったは恥ずかしくはあっても、その偉業を鍼・按摩技術の取得教育を主眼とした世界初の視覚障害者教育施設を作ったことを合わせてこの日に知ったことは幸せでした。二人の学生がともに、「群書類従」の編纂者である「塙保己一」も知らなかったことで、その場では内容を伏せ、「杉山和一」とともに自習で学ぶように指示しました。私は知らざるを知ることが大事と教わりました。明日の研修では、そのことを再度インターン生に話そうと思っています。

                             トップページに戻る   リストに戻る