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政務活動費の裁判で補助参加人に決定 2020.10.28作成

 町田市議会の政務活動費支出に関して、住民訴訟があり、町田市長宛に裁判が行われています。そもそも政務活動費は、法律や条例などで定めるものであり、議会では公開した会議の議論においてその使途も厳格に規定しています。さらに、時代状況に即して改定を重ねてきました。よって、支出行為自体が不当や不法と言われることはないと思っています。
 そこで、今回の住民訴訟で問題とされる点は、支出の中に、見落としなどの容認されない支出がある、あるいは町田市議会が他の自治体に照らして策定したルールが適正でなく、減額されて支出すべきであるという論点を立てているのではないか、と推測しました。この裁判と言うのは、原告が町田市長を訴えるものであり、会派やその参加議員は間接的な関係とも見ることができるものですが、当事者となり得る可能性があると考えました。そこで、裁判中にその真実を議員自らが明らかにしておかないと、町田市の主張が通らない場合、会派や関係議員がその責任を負い、その負担を求められることになりますので、自分の見解を裁判中に主張・説明することが欠かせないことだと考えました。
 この種の住民訴訟裁判では、当事者議員は自身で裁判資料(訴状)の内容を見ることも難しく、最近までその内容を全く知りませんでした。そこで、自前で依頼した弁護士を通じて、訴状内容をコピーで受け取りました。裁判所で訴状をコピーするのには、その事務手続きを依頼して、受け取ることになっていました。街中のコンビニで自分がコピーする感覚(1枚10円)とは異なり、裁判所サイドが原本からコピー(非常に割高です。1枚100円近い単価!この種の裁判では資料が多く、千枚を超す単位になります)を取り、それが弁護士に渡され、更に、弁護士事務所でコピーしたものを受け取る次第になりました。

 さて、町田市が訴えられた政務活動費の使途内容に関する住民訴訟において、その訴状を一べつしただけで、議員個人が当事者になり得るものと思い、裁判所で意見を主張する目的で「補助参加人」となるため、本年9月に訴訟代理人弁護士を通じて、補助参加申出を行いました。すると、意外にも、原告側が「異議申出」を行いました。町田市に敗訴判決があった場合、対象は「会派」になるもので、会派の構成する議員には及ばず、利害関係はないと主張してきました。
 訴状を見ると、私を含めた議員の個々の氏名が記載されており、判決主文には記載が無くても、判決理由中の記載も含まれる等々の理由を上げ、議員個人が「補助参加人」となることの正当性を「反論書」として提出しました。裁判所は、吉田勉が「補助参加人」となることを正当と認める決定をしてくれました。今後、私が「補助参加人」として、裁判所で積極的に発言(文書を含む)できる機会が持てることになりました。



<以下、参考資料>

(資料1)吉田つとむが、訴訟代理人によって、裁判所に提出した補助参加申出書の本文内容です。

補助参加申出書 令和2年9月3日提出

第1 参加の趣旨
   頭書事件について,申出人は,被告を補助するため上記訴訟に参加する。

第2 参加の理由
 1 請求の概要
   本件は,要するに,被告が,請求の相手方を含む町田市議会各会派に対し,平成28年3月までは「町田市議会政務調査研究費に関する法律」(以下,「政務調査費条例」という。)に基づき政務調査研究費(以下,「政務調査費」という。)を,同年4月以降は「町田市議会政務活動費の交付に関する条例」(以下,「政務活動費条例」という。)に基づき政務活動費を交付したところ,平成26年度ないし同29年度に交付された政務調査費・政務活動費(以下,「政務活動費等」という。)のうち,請求の相手方たる町田市議会会派自由民主党(以下,「相手方自民党」という。),請求の相手方たる町田市議会会派まちだ市民クラブ(以下,「相手方市民クラブ」という。)及び請求の相手方たる町田市議会会派保守連合(以下,「相手方保守連合」という。)の支出したものには,条例ないし使途基準に違反した違法なものがあるから,被告は,相手方らに対し,不当利得返還請求又は残余金返還請求を行うべきであるにも関わらずそれを怠るために,原告が被告に対し,相手方らにその請求をすることを求めるものである。
 2 補助参加人には利害関係がある。
 (1)申出人は,平成26年4月1日ないし平成30年3月31日の間,相手方保守連合に所属する町田市議会議員であり,この間,相手方保守連合が被告より受領した政務活動費等を,現実に支出した者である。
 (2)仮に被告が本件訴訟に敗訴した場合,その敗訴判決の効力は相手方保守連合にも及ぶところ(地方自治法(以下,「地自法」と242条の2第1項4号,民事訴訟法(以下,「民訴法」という。)46条,同53条第4項,同242条の3第4項),この場合申出人は,相手方保守連合よりさらに本件訴訟に関する自己の使途に係る政務活動費等相当額の請求を受けるおそれがある。
    そのため,申出人には,本件訴訟の結果につき利害関係がある。
 (3)また一般にも,実際に政務活動費等を受領した「会派」のほかに,「実際に支出した議員も直接補助参加できる。」とされる(内田一夫『判例から学ぶ政務活動費の実務―制度の基本から適正運用まで』189頁(ぎょうせい))。
 (4)以上のとおり,申出人は,本件訴訟の結果について利害関係を有するので,被告を補助するため補助参加の申出をする。

(資料2)原告側が、裁判所に提出した異議申出の本文内容です。(jpg形式)
      
令和2年9月23日に裁判所に提出されている。


(資料3)吉田つとむが、訴訟代理人によって、裁判所に提出した、原告の異議申出書の欄論書の本文内容です。

異議申出に対する反論書 (令和2年9月24日、弁護士により作成されたものです)

頭書事件について,補助参加人 田勉(以下,「補助参加人 田」という。)の令和2年9月3日付け補助参加申出に対し,令和2年9月23日付け異議の申出があったため,これに対し次のとおり反論する。

第1 原告らの主張

原告らは,概要,敗訴判決の効力が及ぶのは会派のみであり,個々の構成員には直接に及ばないから,会派構成員たる補助参加人 田に本件訴訟に関する法律上の利害関係を基礎づける事実がない旨主張する。

第2 補助参加人 田の主張

1 民事訴訟法第42条にいう利害関係は,本訴訟の判決の効力又は内容について法律上影響を受ける地位にあることが必要であるが,判決が直接実体権に影響を与える関係にあることを要しない(大審院昭和8年9月9日決定。大民集12巻2294頁)。また,ここでいう利害関係には,主文に包含される訴訟物たる権利関係の存否についてだけではなく,判決理由中の事実や法律関係について法律上の利害関係を有する場合も含まれる(東京高等裁判所昭和49年4月17日決定。判時748号61頁)。

2 そして,各会派は,各会派の議員が,会派から分配を受けた政務調査費・政務活動費につき使途基準に違反して許されざる使途に支出していた場合,当該支出に係る各議員に対して当該支出金の返還請求権を有しているものとされ(名古屋高等裁判所金沢支部平成20年2月4日判決。裁判所ウェブサイト参照),会派が返還義務を負ったにもかかわらず他に財産がない場合には,当該請求権を行使することによって返還原資を形成する必要があるものと考えられる。

3 補助参加人 田は,被告の請求の相手方とされる,会派「保守連合」(以下,「保守連合」という。)の元構成員であり(疎1),保守連合から政務調査費・政務活動費につき分配を受けて,現実に支出した者である。そして,補助参加人 田の支出した政務調査費・政務活動費も,本件訴訟における使途の適否の判断対象とされており,その結果が少なくとも判決理由中に現れることは明らかである。

本件訴訟の結果,仮に保守連合を請求の相手方とする旨の原告の請求が認容されれば,すでに解散した会派であり現時点で把握する金融資産のない保守連合は,その債務を履行するため,判決理由に沿って会派構成員に対する返還請求権を行使し,回収を図っていくことになる蓋然性は高い。

これは補助参加人 田についても同様であり,補助参加人 田は,本件訴訟の結果如何により,保守連合から,自身の支出した政務調査費・政務活動費について判決理由に沿った返還請求を受ける地位にあるといえる。

したがって,補助参加人 田は,本件訴訟の判決の内容すなわち使途の適否の判断により法律上影響を受ける地位にあるから,本件訴訟の結果に利害関係がある(民訴法42条)というべきである。

4 一般的にも,会派のほかに「実際に支出した議員も直接補助参加できる」とされ(内田一夫『判例から学ぶ政務活動費の実務―制度の基本から適正運用まで』189頁(ぎょうせい)。疎2),現実にも,地方公共団体に対する,会を請求の相手方とする政務調査費・政務活動費返還請求を求める住民訴訟において,会派の構成員たる議員個々人が補助参加している裁判例も多く認められるのは,その趣旨と解される。

第3 結論

以上のとおり,原告の,補助参加人 吉田の補助参加申出に対する異議の申出には理由がなく,補助参加人 吉田の補助参加は認められるべきである。
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 <資料は、以上です>

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