京丹後市視察報告
(04/11/06)
平成16年7月13日 京丹後市視察報告
● 市役所の本庁機能と分庁舎機能の現状と今後について
● 議会の運営について
作成者 八木 邦治、大塚 信彰、吉田つとむ
<概要>
京都府の京丹後市は、平成16年4月1日の京都府の北側部分にある丹後地方の6町(峰山町、大宮町、網野町、丹後町、弥栄町、久美浜町)が対等合併して出来た新しい自治体です。
新市の面積は合計501.83uにも及ぶ広大な地域となっており、人口は66,349人(平成16年4月1日の合併日時点)に達しています。ただし、この地域の人口減少は大きく、平成7年時点で計算すると同エリアで67,208人、昭和55年時点では同じく72,966人も居住していたました。
6町合併に当たって、新庁舎の建設は見合わせるとのことで、旧6町の庁舎が利用されています。市長や市議会の機能は、合併する6町に位置する峰山町庁舎に置かれています。ただし、行政機能のいくつかと、旧役場の半分ずつの職員が、旧町の役場に分散配置されているのが特徴であるとのことでした。
職員数は、1,268人でそのうち、本庁職員は500名とのことでした。ただし、特徴があるのは、峰山町、大宮町、網野町に本庁機能が分散されていることでありました。
あわせて、市民局(支所)の充実という施策で、旧6町役場に、「市民局」(支所)を配置し、その市民局で、行政サービスの大半を実施しているとのことでした。理由は、合併に伴う住民不安を解消する目的があり、合併プロセスがスムーズに行く要因になったとのことでした。
旧町議会から、新市の合併に際して、大半混乱するのが議会の存在です。この京丹後市の発足では、合併特例法で定められた「在任特例」、「定数特例」を一切採用せずに、新市発足から50日以内に新たに選挙が実施されました。その定数は30名とし、選挙でも旧エリアによる小選挙区も設置しなかったとのことでした。
<所感>
この6町で合併が成立した経緯では、交通・生活圏が一体であったことが客観的な状況であったようです。質問では、旧町時代の一部事務組合の関係を問うものがあり、ごみの焼却処理が6町で行われていたとの説明がありました。さらに、配布された資料を改めて閲覧すると、
その他にも、多数の分野でこの6町の一部事務組合事業が共同で行なわれていたことが理解できます。以下の文章は、「京丹後市への道」(京丹後市発行資料)にあるものです。
(以下、引用)「行政面においても、消防、福祉、(養護老人ホーム)について、6町で一部事務組合を設置、運営するとともに、し尿処理等についても、6町または6町内の町で共同して事務処理を行ってきており、平成14年度からは、一般廃棄物の可燃ごみと資源ごみの処理について、6町の共同処理に取り組んでいるほか、それ以外の面においても、共通する行政課題に対して、連携を密にし、事務を行ってきているところである。(以上、引用文)
本庁機能の分散を詳しく見ると、下記の表の次第になります。(表は、視察者3名が、独自に作成したものです)
京丹後市役所 | 大宮庁舎 | 網野庁舎 | 丹後庁舎 | 弥栄庁舎 | 久美浜庁舎 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
市民局
地域総務課
地域福祉課
地域事業課 |
峰山教育
分室 |
大宮教育
分室 |
網野教育
分室 |
丹後教育
分室 |
弥栄教育
分室 |
久美浜教育
分室 |
企画制作部
総務部
保健福祉部
医療事業部
議会事務局
選挙管理委員会
監査委員
固定資産評価審査委員会
公平委員会 |
農林部
生活環境部
教育委員会 |
建設部
商工観光水産部
上下水道部
情報システム課
| 水産課 |
| 農業委員会 |
この表でわかるように、6つの自治体が合併したため、機能分散の特徴性が際立っているのがわかります。とにかく、市民局というものが大半の機能を担っており、大半の自治体業務は以前のままと言えるでしょう。実質的な変化はそれほどあるとは思えません。旧自治体のすべての庁舎を活用し、「合併ショック」の軽減を図っています。
その効用については、現実に機能していることで理解できますが、まだ様々の問題点については、まだ私達が知りうるような問題点としては出ていない様子です。
ところが、議会は大きく変わりました。議員定数の人数では、下記のように激変があって、あっという間に30人に縮小しました。ともかく、行政のスリム化で最初の功績をあげたのは、市議会の誕生と言えます。
新市の議会選挙は旧町の合計議員数で94名だったものが、30名に減少することになります。実際の選挙では、51人もの候補者が乱立し、30名の議員が選出されたとのことです。平成16年5月16日に初代の市長と、上記のように30名の市議会議員が決定したそうです。同じ議員として思うに、さぞかし、激戦で厳しい戦いが繰り広げられたことでしょう。すでに、私達が視察した時点では、新しい議長を始め、議会の構成も完成していました。
<目次>
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