誤報のすり替え 朝日新聞と毎日新聞の、文言の奇妙な同一性(追加記事あり)
2002.3.25作成

<前置き>

 今回は、上記のように、「朝日新聞と毎日新聞との文言の奇妙な同一性」と言うタイトルとしました。主に、2003年3月19日のこの朝日新聞「いま 議会で 03 統一地方選 」のシリーズ記事 @であり、「会派」足並み優先 「原点」遠のく と言うタイトルの記事を点検して来たものです。

<構成>
1 プロローグ(出だしもデマゴギーの朝日記事)
2 記事本文(朝日新聞と毎日新聞との文言の奇妙な同一性)
3 状況の続き(主体と客体、当事者の言は?)


プロローグ 出だしもデマゴギーの朝日記事

 センセーショナルな言葉で読者を引きついける。これは、メディアの最も得意とする手法ですが、度を越すと問題です。

 2003年3月19日のこの朝日新聞は、上記の問題として記事の、冒頭部分で次の様に書き出しました。

 「残念だが会派の総意だ。あなたを除名せざるを得ない」
 1月、町田市議36名中14名が所属する最大会派「まちだ新世紀」の控室で、1人の市議(33)は会派幹部に言い渡された。理由は「会派の結束を乱した」。そうなる予感はあった。(以下、省略。ただし、メルマガ記事218にその続きの部分に関する記事を掲載します。

 この記事は、「会派」を<足並み優先「原点」遠のく」とする大見出し記事とする中の文章です。会派を最大として、その時点までの議員数は13名で、当該市議を除いた人数は12名となっています。町田市議会は絶対数で36名のところで、会派所属人数が14名と13名では同じ最大でも、その意味合いが大きく異なります。

 それは、町田市議会内の会派のそれぞれの構成員数を調べると、すぐに分かることですので、新聞記者であれば基礎的な知識です。
 本社では町田市議会の会派議員数まで把握していないでしょうが、こんな低レベルな誤報記事を、2003年3月25日現在まで放置しているとはひどい状態です。こうした状況で、定例議会本会議の最終日に、また勝手な記事を書いていくか、なにも報道しないですますのでしょぷか。

 この記者さんが必要であれば、朝日新聞の当該記事本文の分析も記載しましょう。

記事本文(朝日新聞と毎日新聞との文言の奇妙な同一性)

朝日新聞と毎日新聞との文言の奇妙な同一性
 そこで、この二つの新聞にどのような同一性が存在するか、そのことをその記事を通じて確かめようと思います。

 朝日新聞は、最新の2003年3月19日の「いま議会で 03統一地方選」と言う記事の中(第2段落記事を手始めに記事にします)で、次の様に書きました。
 きっかけは「歩きたばこ」。この市議は、千代田区のように、繁華街の歩きたばこを禁止し、違反者から罰金を取る条例改正案を昨年12月議員提案する準備を進め、11月記者発表した。
会派幹部はこれを問題視した。「主旨には賛成するが、改正案を見せられたのが会見前日。会派を無視したスタンドプレーだ」というわけだ。提案者に名を連ねてくれるはずだった他会派の議員たちも共同提案を辞退してきた。「会派内でさえもめている条例案はリスクが大きい」と、その一人は理由を明かす。結局、提案は断念した。(以下、省略)

 第一回の記事で紹介したが、上記の記事に関係するので、重複の引用としたい。
 毎日新聞は、2003年3月11日版、なんだか変!東京ウオッチング という囲み記事の中で、<「歩きたばこ」規制 なぜ進まない 「罰則」に慎重な自治体 モラル向上が先決>というものが署名入りで書かれている。
 
 この記事の本文では、下記の引用のように書き出している。

 町田市では、千代田区の条例が施行された後の昨年11月、藤田学市議が記者会見を開き、指定区域内での歩行喫煙を禁じる条例案を12月議会に議員提案することを表明した。しかし寺田市長や議員の多くが規制に慎重な姿勢を示し、結局、提案を断念した。(以下、省略)

 朝日新聞は、「この市議は、・・・・11月に記者発表した」と書き、毎日新聞は「昨年11月、藤田学市議が記者会見を開き、・・・」と書きました。
 ところが、この両紙のバックナンバーを調べても、この11月の記者会見の記事がなぜか、出てこないと言う奇妙な事実に行き当たります。記者会見というからには秘密で行われることは無く、また新聞社が、この件に関してそうした記者会見や記者発表の方法に意義をおくのであれば、その存在を読み落とすことも無かろうと考えます。

 そうした全国紙の中で、この二紙(毎日・朝日)の以外の全国紙(読売新聞・産経新聞・東京新聞)の記事を集約すると、藤田議員の記者会見は20002年11月20日に行われたことがわかる。しかし、毎日新聞は2002年11月19日朝刊、朝日新聞は2002年11月20日の朝刊のそれぞれの記事中で、他紙(三紙)の2002年11月21日朝刊の記者会見記事と同趣旨の内容記事を書いています。新聞としては、摩訶不思議な記事となっています。

果たして、この22002年11月における両紙の記者は、記事の「スクープ」を狙ったのでしょうか、それとも記者会見のブリーフィングを事前報道したのでしょうか。いずれにしても、当事者以外の取材をした形跡を感じさせない状況を感じさせます。それが、「誤報」を生む結果につながりました。

 この両紙は、町田市の「歩きたばこ」報道以来、ますます泥沼記事を書き続けて行こうとしています。

 この両新聞は、2202年11月の藤田学議員の記者会見と言うもので、自分達が取り上げる事態が始まった、と取り繕うとしています。しかし、実際には、そうした記者会見があったと言う以前に、この両新聞はそれぞれに「誤報」の記事を書いたのです。それを、自分たちは記者会見に基づいて、さも記事を書いたかのごとく新聞購読者に取られるように、文面に細工を施しています。

 しかし、その記事の掲載日時がいみじくも、自分の真の姿を照らし出す結果となってしまいました。

状況の続き(主体と客体、当事者の言は?)

<以下は、私の議論掲示板記事を転載引用しました>

投稿日: 2003/03/20(Thu) 15:59
投稿者: 吉田 つとむ
Eメール: mster@j-expert.com
URL: http://j-expert.com/
タイトル: 主体と客体、当事者の言は?

 聞きかじりさん こんにちは

 聞きかじりさんによる書きこみのNo.1912 の文章をお読みました。 
 そうして、朝日の記事を読み比べました。

 微妙だが、大きな違いがあることにお気づきにならないでしょうか?
 賢明な聞きかじりさんなら、もうお気づきでしょう。

 2003年3月19日朝日(朝刊)記事ー「いま議会で 03統一地方選」には、その文中で、<除名>と言い渡されたと書き、<会派を無視したスタンドプレー>というわけだと書いています。すなわち、前段の言葉は、1人の市議(33)が記者に語った言葉の用法になっており、後段は、朝日記者の解釈を書いた文体となっています。

 その他、この朝日新聞記事の全文を再度点検しても、当事者である「まちだ新世紀」の幹部は、自身の言葉をどこにも発していないことが解ります。

 つまり、この朝日新聞記事の文章構成は、括弧書きのスタイルを取って、一見、その文中に、「まちだ新世紀」の当事者の言葉があるかのように見せているに過ぎません。すなわち、その言葉の用法は、朝日新聞読者を錯覚に陥いらせる、「マジシャン」の手法であることがわかります。

 物事は、事実の積み上げで語るべきではないでしょうか!
 主体と客体、当事者の言は? と投げかけさせていただき、その後のことは、次の機会に譲りましょう。

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