昨日(6.3)から、町田市立国際版画美術館で、新規に「出来事との距離ー描かれたニュース・戦争・日常」の展覧会が7.17までの間、開催されます。2023.06.04 「出来事との距離ー描かれたニュース・戦争・日常」ーゴヤ、月岡芳年、浜田智明から現代へーというタイトル、副題がついています。
タイトルに興味があり、初日に観覧しました。私は友の会の会員で年会費を払うことで、有料企画展も会員証を提示し、無料で入ることが可能です。ただし、この日は、無料観覧日になっていました。その意味では、期待したほどの入場者数ではなく、また、思った以上に人が入っている企画展でした。私と同じく、タイトルに興味があって入場した人、「ゴヤ」の知名度で入った人があったのでしょう。
ゴヤはスペイン最大の画家で、18世紀から19世紀にわたって活躍した宮廷画家として有名です。作品では『裸のマハ/着衣のマハ』が特に有名ですが、昔私が聞いたのはマハではなく、マヤと覚えていました。
展覧会では、そのゴヤの作品の中で、戦争に係るもので版画の作品が並べられていました。自分が覚えがある作品とは丸で印象が違うものです。当時、スペインとフランスが戦争をしており、その中で戦いのあり様を版画墨一色の仕上げのリアリズムで表現しました。凄惨な死闘、民衆の反逆の壮絶さ、犠牲になる女性、反抗して戦う女性群など戦争がもたらす姿を双方の陣営の立場から見て書き上げた作品となっていました。今の時代に通じるものを感じました。
次いで名前があげられている、月岡芳年は、幕末から明治中期にかけて活動した浮世絵師です。浮世絵と言えば、多色刷りの木版画であるのが特徴ですが、戦争や侍や軍人の戦う姿を極彩色で描いており、当時、写真が少なかったこと、モノクロであったこと、作品が小さかったことに来れば、浮く世絵では、想像で作品が仕上げることが可能、カラーかつ極彩色に描かれてる、ダイナミックに大きな作品が作成できるなどの特徴がありました。また、版画であることで多数の枚数が印刷でき、新聞の付録として頒布され、一般の人に伝えるニュースメディアとして有用であったようです。また、当時の作品では、歴史ものの人物が登場し、その時代に模した作品があり、事象をリアルタイムで表現しづらい社会事情があったようでした。
ついで名前があげられているのは、浜田智明です。第二次世界大戦後に海外でも有名になった画家です。先の大戦では中国に派遣され、戦争体験がその特徴ある作品を生んでいます。人物の顔を極端抽象化して描く作品がいくつも展示され、戦争の悲惨さを描き、リアル感を目の前から奪ってしまう現在の核のボタン戦争を一枚の作品に描いて見せています。広島の原爆投下からさらに現在では、バーチャルの画面を通じて、戦争破壊のボタンが押される作風は恐怖を超してユーモラス感を持たせている点が旧来のリアリズムを超越した姿を示していると言えましょう。
そのほか、今回は現役大学生や卒業した直後の美術家の作品が、美術館内の次のスペース(企画展示室2)に多数展示されていました。*これらの作品は撮影可でした。 企画展示室の説明→
町田市には東京造形大学と言う美大があり、また市内からすぐ近い距離にも多摩美大があり、新たな時代の芸術を生み出していく人材が多数輩出していますが、その中でも新たな作風を生み出す人材が登場していました。その人材登場に、町田市国際版画美術館が果たしていることが作品を通じても見ることができました。ネットではリアルタイムでニュースが伝わる時代に、版画作品という時間をかけて描かれたニュースを改めて知るのも芸術との特長だと理解できました。
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